西洋古典を読む(2022/1/12)

福西です。

ウェルギリウス『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)を読んでいます。

8巻の66-139行目を読みました。

ティベル川の神のお告げ通り、アエネーアスはユーノーに犠牲をささげたのち、ティベル川を遡上します。ローマ一帯に入植したアルカディア人(もとギリシャ人)と同盟を結ぶためです。最初は「何をしに来た」と警戒されますが、すぐに歓待される展開は、1巻のカルターゴーを連想します。

ここでアエネーアスは、使いを出さずに直接交渉しています。ラティーヌス王に対してはイリオネウスを使いに出していました。この違いに意味があるのかどうか、受講生と一緒に気になりました。

アルカディア人の王はエウアンドルス。王はちょうどヘルクレスのための祭(最大祭、Ara Maxima)を執り行っており、「一緒に見ていきなさい」みたいな感じで、アエネーアスは観客として招かれます。

エウアンドルスの都は、なんと、のちのローマ。しかしこの時は羊がのそのそ歩いているような、鄙びた感じです。「過去と未来の時間差」の遠近感がリアリティをもって読者に伝わってきます。

この後、エウアンドルスによる「ローマ案内」と、「ヘルクレス・カクスのエピソード」が続きます。