![西洋古典を読む(2022/1/12)](https://www.kitashirakawa.jp/yama-blog/wp-content/uploads/2023/05/2021-05-19-23.22.08-2-e1685531534636.jpg)
福西です。
ウェルギリウス『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)を読んでいます。
8巻の66-139行目を読みました。
ティベル川の神のお告げ通り、アエネーアスはユーノーに犠牲をささげたのち、ティベル川を遡上します。ローマ一帯に入植したアルカディア人(もとギリシャ人)と同盟を結ぶためです。最初は「何をしに来た」と警戒されますが、すぐに歓待される展開は、1巻のカルターゴーを連想します。
ここでアエネーアスは、使いを出さずに直接交渉しています。ラティーヌス王に対してはイリオネウスを使いに出していました。この違いに意味があるのかどうか、受講生と一緒に気になりました。
アルカディア人の王はエウアンドルス。王はちょうどヘルクレスのための祭(最大祭、Ara Maxima)を執り行っており、「一緒に見ていきなさい」みたいな感じで、アエネーアスは観客として招かれます。
エウアンドルスの都は、なんと、のちのローマ。しかしこの時は羊がのそのそ歩いているような、鄙びた感じです。「過去と未来の時間差」の遠近感がリアリティをもって読者に伝わってきます。
この後、エウアンドルスによる「ローマ案内」と、「ヘルクレス・カクスのエピソード」が続きます。