
福西です。雑談です。
山の学校のtwitter(現X)にアップするネタをいつも探しています。
それで最近は、オウィディウス『ヘーローイデス』(高橋宏幸訳、平凡社)の「15 サッポーからパオーンへ」を読みました。
まずこれを読んで、日本語で「いいなと思うフレーズ」にあたりをつけました。
つぎに、原文(こちら)が知りたくなって、調べてみました。
それを、いくつか抜き出してみます。
22行目
高橋訳:ああ、私の視線を罠にかける美貌よ。
o facies oculis insidiosa meis!
直訳:ああ(o)、私の目に(meis oculis)罠となる(insidiosa)顔よ(facies)!
43行目
高橋訳:恋は何一つ忘れません。
meminerunt omnia amantes
直訳:恋する者は(amantes)すべてを(omnia)覚えている(meminerunt)。
72行目
高橋訳:私の船は思いどおりの風を受けて進んではいません。
non agitur vento nostra carina suo
直訳:私の船は(nostra carina)自分の風で(suo vento)動かされない(non agitur)
83行目
高橋訳:習い事が性格を作る。
abeunt studia in mores
直訳:熱意は(studia)習慣に(in mores)変わる(abeunt)。
95行目
高橋訳:美少年よ、私の胸に戻りなさい。
inque sinus, formose, relabere nostros:
直訳:そして(que)美男子よ(formose)、私の湾曲(胸)の中へ(in nostros sinus)あなたはすべり戻れ(relabere < relabor:2.sg.pr.imper.pass.)
130行目
高橋訳:もらうにも、あげるにもほどよい口づけ
aptaque accipere, apta dare.
直訳:受け取ることが(accipere)丁度よい(apta)、与えることが(dare)丁度よい(apta)(口づけ oscula)
146行目
高橋訳:いま、その場所はただの地面です。
vile solum locus est
直訳:(あなたのいない)その場所は(locus)安っぽい地面(vile solum)です(est)
156行目
高橋訳:真夜中のように静か
ut media cetera nocte, silent.
直訳:夜に関する(nocte)確かな真ん中(cetera media)のように(ut)静かである(silent)↓【追記2024/7/20】山下先生が添削をしてくださいました。詳しくは、コメント欄をご覧ください。
220行目
高橋訳:レウカスの水面に私の運命を求めよ、と。
ut mihi Leucadiae fata petantur aquae
直訳:我が(mihi)運命たちが(fata)レウカスの水に(Leucadiae aquae)求められるように(ut petantur)(返事に書いてください)
【補足】
傷心のサッポーはパオーンに、「レウカスの海に身を投げてくれ(=お前なんか大嫌い)」という返事を書いてほしい、と頼んでいます。そうしたら、私は本当にそうできる(死んであなたのことを忘れられる)のに、と。
そのような恨み節で、恋の手紙をしめくくっています。
(というのが、オウィディウスの創作したサッポーです)
私が気に入ったフレーズは、以上です。
みなさんにはみなさんの、お気に入りがきっと見つかることと思います。
こんなふうにちまちまやっていると、作業がだんだん脳への刺激となり、楽しくなってきます。
「ひまなことを」と言えば、そうなのですが、これからの余暇(ラテン語:otium)を楽しくすごすにはもってこいの習い事ではないかと思います。
そう、「熱意は習慣に変わる」(abeunt studia in mores)です!
ぜひ、ラテン語をかじってみませんか?