「びりっかすの神さま」を読む(ことば3~4年2021/11/23)

福西です。

この日から、『びりっかすの神さま』(岡田淳、偕成社)を読み始めました。

「1 すきとおった小さな男」

「2 よびよせる方法」

を読みました。

主人公の始(はじめ)は、転校生です。「他人と競争して一番になる」ということに疑いを持っています。転校してきた理由も、お父さんが過労で亡くなったからでした。

担任の市田先生の口癖は「がんばれ」。何かと生徒を競争させ、席も小テストの成績順です。始は、意欲がわかないうちに、クラスで浮いた存在になります。

そんなときに、一つのファンタジーが生じます。

始だけに、教室をふらふら飛んでいる、羽の生えた透明な小人(背広を着たおじさん)が見えたのです。

始は驚き、小人もまた、始に見られたことに驚きます。しかも、頭の中で会話まで。

どうやったら継続して見えるようになるのか、会話ができるようになるのか。始は、その不思議を突き止めようとします。

 

岡田淳という作者は、主人公の「一人ぼっち」が、ファンタジーを通してクラスを団結に向かせるという展開を得意とします。そして、物語の最後に、物語の最初に戻ってきます。そこで主人公とその仲間が経験するような視点の変化を、読者もまた、読む前と読んだ後とで経験します。

一人からみんなへ、という展開は、このクラスであとで読む予定の『二分間の冒険』(岡田淳、偕成社)にも色濃く見られます。(『びりっかすの神さま』はそのひな形とも言えるでしょう)