福西です。
この日は、学校のみさきの家と重なって、欠席者の多い日で、Y君とマンツーマンでした。
Y君が先週書いてくれた俳句を返しました。
月の色白色だけどリンゴみたい
朝ははる昼は夏秋夜は冬だ
秋は赤冬はかれはてはるみどり
Y君がシリーズ漫画から歴史に興味を持っていることを知っていたので、活字でもぜひ親しんでほしいと思い、『太閤記』(中沢巠夫/編、ポプラ社)の一章を読んでみました。
日吉丸(幼少期の豊臣秀吉)が草刈りをしていると、ガキ大将が「どけ」と言います。俺様の場所だから、と。そこは共有地なので、縄張りというものはあり得ないのですが、やむをえず譲ると、今度は「刈った草も置いていけ」と言われます。
日吉丸は十歳。ガキ大将は十三歳。ちょうど中学一年生を相手に小学四年生が立ち向かうようなものです。Y君も十歳。はからずも日吉丸を応援しながら読みました。
日吉丸の父は茶坊主なのですが、実質の暮らしぶりは農民と変わりません。かつ土着の農民に対して肩身の狭い思いをしています。そのような事情で、結局は泣き寝入りで悔しい思いをさせられる、という下りです。
「お前は侍の子なんだから、農民の子とけんかなんかしてはいけないよ」と、日吉丸の母は、むなしいプライドによって慰めます。うなずきはするものの、日吉丸は、心の中では「おれは腕力に対し、頭の力でいつかまさってやるんだ」と誓います。
このあと、信長に召し抱えられ、草履取りから、とんとん拍子に出世していく展開は、大河ドラマでもおなじみです。
「こういう本があるよ」と紹介程度にとどめましたが、本というのはなかなか人に勧められて読めるようなものではないので、いつか「こっそり」と、自身で興味を持ってひも解いてくれたらなと思います。
なお、ポプラ社のこのシリーズはおすすめです。
(漢文クラスの村田澪先生が、山の学校に寄贈してくださったものです)