福西です。
『二分間の冒険』(岡田淳、偕成社)を読んでいます。この日は13章『みんなの力』を読み終えました。
とうとう竜が倒れました。みんなの力でそれを成し遂げるシーンは圧巻です。竜に「なぜ」と言わせたのです。「言ってはならない言葉」を言ってしまった竜の体じゅうから、うろこが落ちます。それは時間でできています。これまで、儀式で竜が大勢の子供たちから奪ってきた、「若さ」の集まりです。
観念した竜の口から、隠されていた真実が語られます。
──むかし、年老いた王が、なぞのすきな竜ととりひきをした。……
少年たちは、戦いの手を止めて、その話に聞き入ります。すると儀式を主宰する館長は、少年たちに、竜にとどめを刺すよう指示します。
──王よ、のぞみのくらしはたのしかったか。
──王よ、のぞみの、くらしは、たのしく、なかったのか。
竜は、最後に、館長もろとも、建物のがれきの下に埋もれてしまいます。
竜は「この世でいちばんたしかなもの」ではありませんでした。けれども「知らぬことのない」竜に、悟はそっとたずねます。
「この世界で、いちばんたしかなものとはなんだったのだ。」
すると、息も絶えだえに、答が返ってきます。「だれだれにとって」という条件をつけなければ、不完全な問いである、と。
悟は、「この世界でいちばんたしかなもの」を見つければ、元の世界に帰れます。そして、一つの答を思いつきます。
悟が「わかった」というと、これまで彼といっしょだったかおりは、さびしそうに笑います。多感な生徒たちも、その事情をよくわかっているようでした。かおりは、悟が元の世界に帰る手伝いをしてくれます。
「つかまえた!」
けれども、悟はまだ帰れませんでした。ちがっていたのです。いったい、何が正解だというのでしょうか?
残すところ、あと2章。次回は、『見えていなかったもの』です。
『二分間の冒険』の次の候補を考えています。消化不良を起こしてはいけないので、はし休めに、短いものを読んでから、また新しい長編を読み始める予定です。
短いものの候補には、
『ポリーとはらぺこおおかみ』(ストー)
『ボッコちゃん』(星新一)
『シュナの旅』(宮崎駿)
長編の候補には、
『星モグラ・サンジの冒険』(岡田淳)
『大どろぼうホッツェンプロッツ』(プロイスラー)
『冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間』(斎藤 惇夫)
『ぽっぺん先生の日曜日』(舟崎克彦)
『ぽっぺん先生と帰らずの沼』(舟崎克彦)
を考えています。