高木です。
今日は川路柳虹(かわじ・りゅうこう)の「暮れがたの海べに立ちて」を朗読しました。
身もだえて、
なお消えがてに
燃えさかる
夕べの雲。
日は沈み、
帆かげもなきに、
なおのこる
紅き夕雲。
わがなやみ、
海の青さに
しずまらず。
今日も砂の上(へ)。
こともなく
貝を碎(くだ)きて、
胸に沁む
波の音(ね)をきく。
波は浜に寄せ、胸に沁みこみます。「波が胸の中に入って来るんやで」と言ってくれたM君は、この詩の情景を深く感じてくれているようでした。書き取りをしながら、「沁みる」が、「染みる」ではなく、「氵(さんずい)」に「心」だということに、注目してくれていました。
『絵のない絵本』の「第三夜」は悲しいお話です。お月さまが空から常々見守っていた美しい娘が、金の亡者のような商人に嫁いでしまい、終には若くして死んでしまうのです。こう語るお月さまの話の中には、何度もバラが登場します。かつて美しく咲き誇り、現在は萎れてしまっているバラの花が、この娘の一生を喩えていることを、T君は指摘してくれました。
山下です。
>胸に沁む
毎週朗読されている詩の一句一句が子どもたちの胸に沁みこんでいくように感じられます。このブログの記事が5年、10年先にも読める形で残るよう精一杯努め、「あの詩のあの言葉」、「あの先生のあの言葉」に再会できるようにしたいと強く思いました。