前回は、雨のため、室内にて想像して空を描きましたが、
今回は大変天候に恵まれました。
この日、空に挑戦したのは、1年生のI.Nちゃん、Mちゃんと、2年生のN.Nちゃんの3人です。
(残念ながら、U君、Hちゃんはお休みでした。)
はじめての「透明」水彩絵の具の説明と、簡単な実演を行った後、早速外に出ます。
Bクラスと大きく異なった点は、外に出た後、園庭に上がるのではなく、3人とも「石段」を描く場所に選んだことです。
実は、西に向かって下りになっている石段は、夕暮れ時の空を眺めるには、絶好の場所なのです。
たんぽぽ組園舎の前で描きはじめたN.Nちゃん。様子を見守る彬先生と、楽しそうに語らいながら制作を進めています。
筆先には、真っ赤な絵の具・・・。
おや、これは「ウェット・オン・ウェット」の技法ですね。
湿っているうちに、次の絵の具をのせる描き方です。
じわっと滲んだ夕日の部分を、さらにガーゼで調節。
「建物描けるよ。」と、得意げに描いて見せてくれました。
さらに、石段に腰掛けるNちゃん自身も描き込みます。穂先に神経を集中・・・。
できました。夕日の光の広がりと、秋空らしい色の対比が印象的です。
MちゃんとI.Nちゃんは、ほし組園舎前の石段に並んで腰掛けます。まず、二人とも、パレットの上にたくさんの色を絞り出していました。目に映る景色の中から色を読み取り、使いそうな色を考えて絞っているのでしょう。段取りとして、とても大切なことです。
「空じゃないものも、描いていい?」「家や山も描きたい!」
という言葉に、私は少し考えてから、こう答えました。
「空を描いてくれたら、他に何を描いてもいいよ。」
課題に制限を持たせること(例えば、「空だけ」と限定すること)も、確かに大きな意味や、効果を持つ。そのような考えも、一瞬、頭をよぎりましたが、西日を受けて輝く町並みや、光の粒子にかすんで見える山並みは、あまりにも美しく、それらを「今、描きたい」と二人は思っているのです。
描かせない理由など、結局どこにも見当たりませんでした。
N.Nちゃんの場合も然りです。
徐々に賑わってゆき・・・
完成しました。(左から、Mちゃん作品、Nちゃん作品。)
最後に二人がおした手形によって、絵に、楽しげな雰囲気が添えられています。
また、空を描きましょう。
写真全体に夕日の光が感じられます。
この角度から見る西の風景は私も大のお気に入りです。亮馬先生が書き綴って下さった「おさなごの詩」に出てくる「空」は、この西の空です。(ただし、もう少し下のあたりから見る西の空です)
>>「おそらの いちばん きれいなところ」(http://www.kitashirakawa.jp/taro/sb/log/eid1487.html)
先生としては、時間や季節を変えて、同じテーマの作品に挑戦させたいという願いをお持ちではないか、と直感しました。つまり、それくらい、この日の子どもたちの集中力は高いものがあり、「空をかく」というシンプルきわまりないテーマこそ、子どもたちの独創の芽をはぐくむ格好のものである、という感触を得られたように感じたためであります。