福西です。
『はらぺこオオカミがんばる』(ストー、掛川恭子訳、岩波書店)を読んでいます。
第2章は、「まる見えオオカミ」でした。
魔女の所で「透明になる方法」を教わり、すっかりその気になったオオカミは、衆目ではずかしいことをたくさんやらかします。
見るに見かねて、ポリーが声をかけます。
「おどかすなよ。」
オオカミは、ポリーにもきこえるくらい、歯をカチカチいわせながら、あわれっぽい声をだしました。
ポリーは、オオカミの姿がすっかり見えていることを、オオカミに自分の足を注視させることで証明します。
見えないオオカミになったのなら、自分にも見えないはずよね、と。
オオカミは、足もとを見おろしました。
「あれ、だれか、すごくきたない足の先を二つ、わすれてったぞ。」
ここで、受講生たちの笑いがこみ上げました。
オオカミは、「見えないオオカミ」になっている間、どんなことをしでかしたのか、時系列をさかのぼって、一つ一つ、ポリーに告白します。とくに長くて面白かったのが、オオカミが「汽車ポッポごっこ」をする話でした。
話し終わってから、オオカミはポリーに疑問をぶつけます。「どなたさまも、おのりかえねがいまーす」と叫んだ時、どうして周囲の人がこちらを見なかったのか、と。
ポリーは教えます。「それは、じろじろ見たら失礼だし、変な人と関わり合いになりたくなかっただけよ」と。
オオカミはすっかり赤くなり、またもやポリーを食べずに逃げ出したのでした。
回想シーンで笑いを取るという、新しい描写方法のお話でした。