福西です。
クマのプーさんえほん(ミルン、石井桃子訳、岩波書店)の、『13 ウサギまいごになる』を読みました。
『クマのプーさん』に出てくるウサギは、保守的です。以前、カンガとルーが百町森に越してきたときも、追い出そうと計画しました。
今回もそれに似ています。
トラーのはねっかえりを直そうと、お灸を据える計画を立てます。
・トラーをノースポール(と名付けた丘)に連れて行き、置きざりにする。
・次の日、見つけ出してやる。
そうすれば、
「おとなしいトラーになるからさ。かなしくって、さびしくって、小さくて、すまながるトラーになって、ああ、ウサギさん、どんなに会いたかったか、というようなトラーになるからさ」
と、ウサギは言います。プーとコブタは、その計画に、わけが分からないまま、付き合わされます。
しかしノースポールに行く途中、濃い霧が出ます。
ウサギは、プーとコブタに大見得を切り、一人で行動した挙句に、迷子になります。
一方、置き去りにされたトラーは、何事もなく自力で帰ることができます。しかも、そのあとで、ウサギを探しに来てくれます。
オチは次の通りです。
「ひじょうに小さい、みじめな」ウサギが、その声めがけて、霧を突いてとんでいくと、声は、とつぜん、トラーにかわりました。しんせつで、えらくて、大きくって、役にたち、そして、もしかりに、はねっかえるとしても、トラーというものが、そうあるべきように、美しくはねっかえるところのトラーに……
「ああ、トラー君、どんなに君に会いたかったか。」と、ウサギはさけびました。
2週かけて読みましたが、おもしろい箇所ではそのつど立ち止まり、機微を味わいました。
今までで一番カタルシスがあったかもしれません。