高木です。
今日は『ガリバー旅行記』の「飛ぶ島」の部の第三章「幽霊の島」を朗読しました。
ラピュータを擁するバルニバービのラガード研究所を後にしたガリバーは、
グラブラブドリッブという「幽霊の島」へ向かいます。
「幽霊」というのは、グラブラブドリッブの族長が魔術で喚びだす亡霊のこと。
アレキサンダー大王にハンニバル、シーザーとブルータスに、
ホメロスやアリストテレスまで、
過去の偉人たちが次々とガリバーの前に現れます。
すかさず「”てつがく” ってなに?」とM君。
私は、いま生きている「自分」ってなんだろう、とか、
「人間」ってこの宇宙でなんのために生きているのだろう、「人間」ってなんだろう、とか、
そもそもその「宇宙」や「世界」ってなんなのだろう、とか、
そういう、ものごとを考えていくときに土台になるようなことについて考えることが「哲学」で、
そういう「哲学」に深く取り組んでいる人のことを「哲学者」と呼ぶのだと答えました。
自分が朗読したページを書き取りするために、
今日、そのページの全員分の割り当てを記した「書き取り表」をお配りしたのですが、
そのときに、私がページ数の横に書いた各章のタイトルのうちの
「フウイヌムの美徳」という文字を見つけたM君は、
「”美徳” ってなに?」と疑問を持ったようでした。
私が「その人の持つよいところ」と答えると、
「じゃあ人間の美徳ってなんやろう?」とM君。
「そう、そういうふうに考えることが、まさに『哲学』です!」と私は感心し、
そこから、M君とH君と私とで、
たとえば芸術は人間だけにそなわった能力か、いや、絵を描く動物もいる、
でも動物はそれを「芸術」だとは思っていない、「芸術」だと捉えているのは人間だ、
というふうに、ひとしきり議論を交わしました。
書き取りの時間では、みんなせっせと取り組んでいました。
新年度から新しい『ガリバー旅行記』になったため漢字の量も格段に増えましたが、
それでも、さらに漢字に直せるところを探して、お二人ともできるかぎり漢字を書いてくれます。
いつもながら、彼らの意識の高さには感心させられます。
『ガリバー』の続編(H君)と現代版(M君)を書く時間では、
頭を肘で支えながら物語の展開を熟考してるH君の姿が印象的でした。
原稿用紙に3行ほど書いては、一度手を止めて熟考し、また書きはじめる、
という様子から、彼の創作への熱意がうかがえました。
M君は今日、物語の第1部を完成しました。
「できた!」とM君が言ったとき、最初、私は物語全体が「できた」のかと思ったのですが、
「次は第2部やな」と言うのを聞いて、頼もしく感じました。
先生にとっても生徒さんにとっても思い出に残るような言葉のやり取りでした。ガリバー旅行記というと、ダイジェスト版に接する機会はあっても、なかなかもとの文章に接する機会はないものです。今回のエントリーを読ませていただき、スウィフトって、けっこう楽しんで文章を展開していたのだなと思いました。自由気ままにというつもりはないですが、そう見えるように書いている感はあります。