福西です。
『黒ねこサンゴロウ キララの海へ』(竹下文子、偕成社)を読んでいます。
「6 ガラス貝」と「7 やみねこ」の章を音読しました。
前回、サンゴロウは洞窟の中に船を進めました。そこの水には夜光虫が漂っています。サンゴロウが潜ると、見た目の美しさと違って、水は「ぬめぬめ」としていました。そして水の底に目的のガラス貝を見つけました。
必要な量のガラス貝を取り、くたくたになったところで、サンゴロウは悪寒をおぼえます。
「やみねこ」が現れました。洞窟の奥に広がる闇。それがなにやら大きな猫の形をなしてサンゴロウに近づいてきます。不気味な声で話しかけてくるので、知性はあるようです。
正体はわかりません。ただ最後にサンゴロウが小型ストーブを投げつけると、ぱっと虫の集まりのようなものが散ります。
ここで、物語の真ん中まで来ました。ガラス貝を持ち帰るここからが、むしろ物語のメインです。
次の俳句を紹介しました。
幸せのぎゆうぎゆう詰めやさくらんぼ 嶋田麻紀
さくらんぼが夏の季語です。
中七の「や」が「の」ではないことが、俳句としての味わいです。「幸せのぎゆうぎゆう詰め」と「さくらんぼ」(の持つイメージ)との間に、いったん切れがあります。切っておいて、二つがお互いに頭の中で結び合わさろうするところに詩情が出ます。
Fちゃんは、好きな人のハグを連想しました。
さらに、さくらんぼが木にいっぱい実っているところも連想したそうです。そして、緑の葉っぱに埋もれながら、片方の枝ぶりにはぎゅうぎゅう、もう片方の枝ぶりには1個だけ。そんなコントラストのある解釈も話してくれました。
私は最初この句からは、さくらんぼの山がガラスの器に光りながら盛られている様子をイメージしました。でも、上のようなFちゃんの「ハグ」や「木に実っている様」の方がイキイキとしていて、いいなと思い直しました。
やはり、複数人数で句を味わうのは、いいことですね。