高木です。
蓮(はす)と鶏(とり) 金子みすず
泥のなかから 蓮が咲く。
それをするのは 蓮じゃない。
卵のなかから 鶏が出る。
それをするのは 鶏じゃない。
それに私は 気がついた。
それも私の せいじゃない。
蓮を知らないというので、まずあの水面に浮いている平たい葉を描いて説明すると、「あぁ、あのカエルが乗ってるやつ」と、すぐに理解してくれました。しかし蓮の花については、R君もY君もなかなかイメージがわかないようでした。なので、これも絵に描いて、泥のなかから咲く花だけれど、泥のなかから咲いたとは思えないくらいの美しい花だということを説明しました。
この詩は、朗読はしたのですが、意味については、深く考えだすとなんだか哲学的になってしまいそうだったので、「保留」にしました。今は、自然のなかに不思議なことを発見する、その純粋な経験だけで、充分だと思います。
それぞれ面白い詩を書いてくれました。
八百やのおっちゃん
Y
さあこうてやこうてや。
きょうのやさいは大こんやで。
おいしくて、あじは、なっとうあじやで。
そんなんまずいやん おっちゃん。
さあこうてや
スイカがありまっせ。
なかは、たねしかないで。
それはくろいやん おっちゃん。
さあこうてや
えだ豆140円やで。
でもかわを、あけたら、ピンピンちょくげきしまっせ。
そんなんいたいやん おっちゃん。
さあこうてや
やきにくようのにんじんやで。
やいてしょうゆつけてたべるのは、しょっぱいで。
どうやってたべんねんおっちゃん。
さあさようなら。
ってちゃうやん おっちゃん。
もうくびにし おっちゃん。
Y君らしい、ユニークな詩です。
それぞれの段落に、「フリ」と「ボケ」と「ツッコミ」が揃っているのが驚きです。
また、「さあこうてや」の反復が、最後に「さあさようなら」となることで、きちんと「オチ」がついています。
こういう身近なテーマを扱いながらでも、関西独特の言葉のリズムを応用して、全体によくまとまった詩になっています。
R君は、日本の都道府県それぞれの形を動物に見立てて、詩を書いてくれています。
たとえば「京都」は「イヌ」、「長野」は「イノシシ」、というように。
今日はそうしたアイデアを原稿用紙にたくさん書き出してくれ、まず「京都犬」の詩を書きはじめてくれました。
今週では完成にいたらなかったので、続きはまた来週です。
相変わらずユニークな子供たちですね。朗読を続けてこられたおかげか、読んで心地よいリズムの詩がかけるようになったのですね。詩を声に出して読むこと、詩を書くことが自然にできるところがすばらしいと思います。