高木です。
『銀河鉄道の夜』の第三章では、ジョバンニはひとつだけ嘘をつきます。
その箇所はどこか、また彼はなぜ嘘をついたのか、ということについてK君に書いてもらったのですが、非常に理路整然とした文章に、驚きました。
母は自分とカムパネルラが昔と変わらず仲が良いということを疑っていない。そんな母に、カムパネルラとの現在の微妙な関係を打ち明けると、母を残念がらせてしまう。だから、ほんとうは「星祭り」にはカムパネルラとは一緒に行かないのに、「ああきっと一緒だよ」とジョバンニは言ってしまう。
母の思いを裏切りたくない、というジョバンニの複雑な心境を扱った箇所でしたが、K君はほどんど過不足なく、まさに「簡潔」に答えてくれていました。
短絡的かもしれませんが、あるいはK君自身にもこうした経験があるのかもしれない、とも思いました。文章に淀むところがないからです。私にはこうした経験があるのですが、K君の文章を読んでいると、そのときの気持ちが蘇るようで、そしてその気持ちを言い当てられているようで、なんだか不思議な気持ちになりました。
>非常に理路整然とした文章に、驚きました。
K君と先生は、かれこれ長いお付き合いとなりますが、毎回のように驚かされる、そんなわくわくどきどきの連続ですね。K君も自信を持って内側の力を外に向けて発揮できるようになったのではないかと思います。それには、真摯な聞き手としての先生が必要不可欠ですね。