福西です。トンケ・ドラフト『王への手紙(上)』(西村由美訳、岩波文庫)を読んでいます。
今回は1章4節「宿、イカルヴァラ」を読みました。
音読の後、意味調べと、要約をしてきてくれた人に発表してもらいました。
2節「見知らぬ人からの依頼」における、盾持ちの老人とティウリとの立場が、4節のティウリと宿屋の主人とのそれと似ていることをクラスで確認しました。
物を頼む側:盾持ちの老人=今のティウリ
頼まれる側:礼拝堂でのティウリ=宿屋の主人
1)
p39 「こんな夜中に?」男が怒った。(宿の主人)
→p27「どこかほかへ行ってくれればよかったのに」ティウリは、小声で怒った。(ティウリ)
2)
p40 「大事なことなんです」ティウリは、せっぱつまった声で言った。(ティウリ)
→p27「助けをたまわりたい。生死にかかわる件で!」…男はくりかえし言った。(盾持ちの老人)
3)
p40 男がきみょうな声をあげた。…「ちょっと待て。下に行くから」(宿の主人)
→p26 ことわれない、とティウリは感じた。騎士候補生としてしたがうべき規則も重要だが、助けを求めるこの男の要請は、さらに重要だ。(ティウリ)
このように相互参照をつけることを徐々に始めています。たとえば1)ではp39→p27、p27→p39とテキストの該当箇所にメモします。
既読箇所が蓄積していくにつれて、過去の印象がよみがえってくることがあります。そのような記憶の引出しができることは、ゆっくり読んでいることの成果だと思います。