ことば2~4年(金曜日クラス)

福西です。

先週は、メーテルリンクの『青い鳥』を、絵本と原文を使って紹介しました。原文の方は、全部を読むのは無理なので、クリスマスの時期を舞台にした最初の場面と、クライマックスの「未来の王国」という場面を朗読しました。

その後で、印象を作文にしてもらいました。

Rちゃんは、「青い鳥」の存在そのものに興味をひかれた様子でした。「青い鳥はサンタクロースみたい。見えないけれどいると信じているから。幸せもきっと見えないけれどあるんだと思う」と言っていました。そして作文のほうでは『青い鳥の幸せ』と題して創作を始めてくれました。

物語の主人公は「青」という名前の五歳の女の子です。青は「青鳥ようちえん」に通っていて、いろいろな経験をしますが、その頃に青の最愛のおばあちゃんが亡くなるという経験をします。そのおばあちゃんが青にこう言います。「見えなくても、これからはいつまでもお前のそばにいるからね」と。青は、きっと自分のまわりにはおばあちゃんがいるのだと信じ、それを幸せだと感じます。その後の青は、あたかもおばあちゃんの加護を受けた人生を歩み、大人になったら幼稚園の先生になろうと心に決めます。そして『青い鳥』の未来の王国に出てくる「青い人たち」のように、未来の子どもたちの世話をすること、それが自分にとっての「今はまだ見えない幸せ」なのだと思うようになる、というストーリです。

今は書き出したところですが、大変良い筋だと思います。続きが楽しみです。

一方で、Jちゃんは「未来の王国」が印象深かったらしく、こんな面白いことを言っていました。

「赤ちゃんがもし未来の王国から、お母さんのおなかの中に来たのだとしたら、赤ちゃんはきっと未来の王国のことをおぼえていて、それを一生懸命お母さんに『こんなことがあったよ』と話そうとしていて、それがあの『アーアー』という言葉なの。でも通じないから、私たちにはそれが何を言っているのかわからないだけなの。それで赤ちゃんが1歳ぐらいになって、言葉をやっと話せるようになったときには、もう時間がたちすぎていて、未来の王国のことは忘れてしまうの」と。

切ない話ではあるのですが、話しているときのJちゃんがとてもニコニコとしていたのが印象的でした。ふと『風に乗ってきたメアリー・ポピンズ』の中の、双子の赤ん坊の話を連想しました。そしてJちゃんが一人でそのように考えついたことに驚きました。

作文のほうでは、最初の場面の貧乏人と金持ちの対比について、「シアワセハココロニヨッテチガウ」(人それぞれである)ことを、未来の国の人が話す言葉で書いてくれていました。

二人とも、素直で、凛々しい心の持ち主だなと改めてそう感じました。