2/10 ことば4年生(A)

高木です。

このクラスも、今日を含めて残すところあと四回となってしまいました。
朗読する詩は、このクラスのはじまり頃に読んだものを、もう一度選んでいこうと思います。
今日は、中原中也の「この小児」。

  コボルト空(ぞら)にゆきかえば、
  野に / 蒼白(そうはく)の / この小児。

  黒雲(くろくも)空にすじ引けば、
  この小児 / しぼる涙は / 銀の液……

       地球が二つに割れればいい、
       そして片方は洋行すればいい、
       すれば私はもう片方にこしかけて
       青空をばかり――

  花崗(かこう)の巌(いわお)や / 浜の空
  み寺(でら)の屋根や / 海の果て……

今日はT君が遅れていたので、M君と二人でクラスをはじめました。かつて朗読したとき(5/27)と比べて、M君の朗読は格段に上達し、より言葉のリズムを意識してくれています。M君は朗読する前に「この詩、おぼえてる?」とM君に尋ねたら、彼は詩を見て「う〜ん、おぼえてないかも」と言います。しかし、朗読しているうちに、「あ! これ読んだことある」とM君。詩を音として覚えてくれているのです。自転車の乗り方を忘れないように、こうした記憶は色褪せにくいものです。朗読に取り組んできて良かったと思えた瞬間でした。

漢字の成り立ちは、「水」の部の一回目。
今日は「水」「川」「州」「永」「泳」をとりあげました。いずれも、流水の形です。
自分で成り立ちを考えてみる「チャレンジ」で、M君は「派」について考えてくれました。
なかなか分かりません。しかし「答え」にたどり着くことだけが大切なのでもありません。
いろいろと想像をめぐらすことで、その文字に特別な印象を持てれば、それでいいと思っています。
ちなみに「派」は、上から下へ水流が派生し拡がっていく形です。

ひみつ道具作りでは、M君は非常に緻密な作品を創ってくれていました。まだ完成にいたっていないので、内容については来週書こうと思います。

このひみつ道具作りの途中で、T君が遅れて来られました。
ひみつ道具作りに取り組んでもらおうと思っていたのですが、今日の取り組みのプリント(中也の詩、「水」の成り立ち)を一応お渡しすると、T君は自分が遅れてきた分を取り戻そうとするかのように、詩を読んで、漢字の成り立ちを考えてくれました。
残り時間は20分を切っていたと思いますが、いろいろと私に質問をしつつ、非常に集中して取り組んでおられました。
彼の真摯さに、なんだか胸を打たれました。