2/10 ことば高学年(作文)

高木です。

今日はまず、ジョバンニの六つの考えごとのそれぞれをより詳しく書いてきてもらった文章を確認しました。最初の文章より内容が格段に充実していました。そして、表現上の留意点を若干指摘したあとは、先週の約束どおり、持参した字書で、懸案になっていた「賢」の成り立ちについてK君自身に調べてもらいました。
私がいつも参考にしている白川静の字書をお渡しすると、その文章の難しさにも関わらず、K君はそれを読みあげて、ホワイトボードに成り立ちの図を描きながら、「賢」の本質を熱心に学んでくれていました。
学んでいろいろと対話したことをまとめると、次のようになります。
「臣」とは横から見た眼の形で、古い中国では神に仕えるしもべをのことを「臣」と呼んだ(家臣とは家来のこと、大臣とは公僕のことです)。そうした「臣」は、自らの手で瞳を傷つけて盲目となったが、だからこそ異能を得ると信じられた。「臣」に「又(手の形)」を加えた「臤」とは、そうした優れた能力を持つ者のことをいう。「臤」が「賢」の元の字であったが、後に貨幣として用いられた「貝」を加え、そこに「貴重なもの」という意味が付与された(K君は「貴」の字にも「貝」が使われていることを発見しました)。優れた能力を持つ貴重な存在、それが「賢」である。
そして、一文字の漢字を本質から自力で学んだK君もまた、そのような存在であると思い、そう伝えました。
この「賢」のあとも、先週同様にまるで木のように対話は生長し、ホワイトボードはかくも狭いものなのかと、今日も痛感させられることになりました。

一区切りがついたところで、『銀河鉄道の夜』を読みすすめました。
今日は「五、天気輪の柱」と「六、銀河ステーション」です。ここらかようやく銀河鉄道が走り出し、『銀河鉄道の夜』といえば誰もが想像するような幻想銀河が展開していきます。これまで追ってきたジョバンニとカムパネルラの複雑な関係と心情は、いったんは忘れられたようになって(しかし読者であるK君は覚えています)、かつてのカムパネルラとの純粋で幸福な時間へとジョバンニはかえって行きます。銀河鉄道が走り出す前までのくだりを丁寧に読み込んできたK君は、読み進めるにしたがって、ジョバンニのある重大な忘れ物に気づいていくことになると思います。
しかしこれはまだ先の話。いまは鋼青の銀河の煌めきのなかをジョバンニと一緒に旅します。
今日は、本文を時間をかけて読んでもらった後、家で書いてきてもらう作文の形式についてお話して、クラスを終えました。K君の文章は、また来週ここでお伝えしたいと思います。