しぜんB 2013.5.9

「トカゲとハムシとひっつきむしと」

暑い、と思えるほどの陽気。ようやく季節が追いついてきました。

クラス最初の「発表会」。
Mちゃんが家の庭から持ってきたのは、ブルーベリーの花。
その白いつぼみは、1センチ足らずのラグビーボール型で、中央だけうっすらピンクがかっています。
みんなで嗅いだり触ったり。最後は、そっと開いてみました。中からは、ひょろっとしためしべ、先の真っ赤なおしべ。

細やかな自然の美を発見するMちゃんの眼差しを、みんなで共有しました。

次に、いつものように、教室の外に隠しておいた“発表”を取りに行ったRちゃん。
しかし、何も持たずに、教室に戻ってきました。
「今日も葉っぱを持ってきたよ。」
といって、くるっと後ろを向くと・・・一同びっくり!
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背中に大きな草のかたまりがひっついています。
「ひっつきむしだ!」「すごい量だね!」「見たことない!」

今度は、センセイも発表があるよ。
そう言って、透明ケースに入れた、タマムシ色の小さな昆虫をみんなに見せながら
「アカガネサルハムシ」という、その少し変わった名前について、みんなで考えました。

アカガネって、何でしょう。赤金、すなわち『銅(アカガネ)』です。
ハムシは、漢字で書くと?
そうです。「葉虫」です(Y君回答)。それでは、「サル」は、何でしょうね。
生きものについて、どうしてそんな名前をつけたのか、考えてみることも、発見につながります。

さて、この日の外での活動計画は、すぐに決まりました。
Y君の提案による、トカゲ探し。そのあと、Rちゃんによる「ひっつき虫」発見場所の案内。最後にアカガネサルハムシの居場所を通ります。

教室の外に出て、みんなにアドバイスしたこと。それは、息を潜め、足音も立てず、ゆっくり歩むことです。ワイワイしていると、行く先々で、生きものたちは姿を隠してしまい、出会えるものにも出会えません。
「ほら、もっと身をかがめて・・・!」
微かな声で、1年生のT君に諭しながら、先頭をきって、石段を四つ足で這うように上るY君。その姿は、コモドオオトカゲならぬ、“コドモオオトカゲ”とでも言いましょうか。獲物を狙うような足取りは、真剣そのものです。
「そうか・・・トカゲに会いたいのなら、こちらもトカゲの気持ちになればいいんだね。」
Y君の後ろ姿を見て、思わずみんなに呟いたのでした。

忍び足で石段を上がり、また下りてきました。この間、残念なことに、トカゲを目撃することは出来なかったのですが、代わりに、アオスジアゲハが花の蜜を吸ったり、飛んだりする様子を間近で観察することができました。
(実はクラス前、あと一歩のところでトカゲに逃げられたY君。大丈夫。まだまだチャンスはあります。)

次に、Rちゃんが案内してくれたのは、石段を下りて少し行った、道ばた。
「へえ〜、こんなところに・・・!」
見ると、塀と道路のわずかな隙間に、その草の塊はありました。
そして、驚くほどポロッと抜けたその草を持って、再び石段を上る途中、似た草があちらこちらに生えていることに、みんなは気づき始めました。
細い茎に、オナモミに似た小さな実が、必ず2個ずつ付いています。
「ひっつき虫」がこんなに楽しいとは!夢中になって、見つけては採取し、ひっつけあうみんな。

最後に、「〜ハムシ」の居場所を案内。
石段の途中の柵に絡まった「ノブドウ」の葉に、それはいました。
1匹、2匹と見つけていくうちに、全部で9匹も捕まえることが出来ました。西日を受けて虹色に光る甲虫を、うっとり眺めながら、「この虫も“タマムシ”でいいのにね。」と誰かが呟きました。

教室に戻り、集めた「ひっつき虫」(というのは、勿論「ひっつく草」の俗称です。この日、図鑑では、同じ草をみつけられませんでした。)から、コロコロした実の部分だけを、トレーに集めることになりました。
「字が書けそう」「紙にはひっつかないね」「的当てゲームもできそうだね」「何だか(この作業をしていると、)こういう会社みたいだね」「しぜんぜんもうからない社!」

「すごいねばっこいよ〜!」というのはT君。
こちらは、ひっつき虫のことではなく、彼が見つけた、緑色に透き通った小さいアオムシです。
プラスチックの上でも滑り落ちないのが凄いと感じたらしく、すっかりお気に入りです。
歩くのも、結構早い!

この日、それぞれに出会った生き物たち。みんなスゴイところがありますよね!
そうしたことの「記録」もしながら、また、生きものたちとの出会いを重ねていきましょう。