これまでの問題関心に近いと思ったので、東浩紀『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』(東京創元社、2013)のはじめにの部分を読んでもらいました。東浩紀『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』はじめに〈全文〉(1/3)[2013年11月]|Special|Webミステリーズ!で読めます。
現状認識は東さんと共有した上で、その結論が違うという話になりました。東さんは文学と現実とが切り離された状態を否定的に述べているように感じられますが、私達はそれを肯定的に論じたいということです。「現実逃避」という語を用いると否定的なニュアンスを避けられないので、別の表現を探したいところです。
東さんは環境管理権力で工学的に現実を制御すればよいという立場だと思われますが、人々がそこまで動物的に管理されるのではなく「あえて」流されるといった中間的なあり方をしているのではないかと私達は論じました。もっとも東さん自身も近著の『弱いつながり』で旅をするなどして環境を変えることを提唱しているので、人々を動物的に管理されるだけの存在だと捉えているわけでもないのかもしれません。
今回までで論点が見えてきたので、次回からは発表原稿を作り始めます。