浅野です。
大学の授業で論文検索のciniiを紹介してもらったようで、このクラスの取り組みと連動しています。
そのciniiで検索して見つけた宮台真司「若い世代のコミュニケーション―その変化の背景そして処方箋―」を読みました。
そこに書かれていることはおよそ同意できるとのことでした。著者が「ナンパ師の逆説」と呼ぶ、現代社会に特徴的な状況がおもしろいです。ナンパ師はナンパが成功すればするほど、その相手の女性は他のナンパ師から声をかけられてもついていくだろうと思って不安になるという逆説です。
この逆説は、「囚人のジレンマ」と同じ構造になっていることにも気づきました。各人が相手を信用できないので保険をかける意味で複数の関係性を模索すると、全体としてますます不安が高まるという状況です。非正規雇用が増えると、企業は教育訓練をせず、労働者は熱心に働かず、全体として生産性が落ちるというのも同じ形でしょう。過剰に流動的な現代社会ではこうした逆説に陥りやすくなります。