これまでの興味関心から、今回は東浩紀他『波状言論S改―社会学・メタゲーム・自由』(青土社、2005)の一部を紹介しました。
話した内容を大まかに紹介します。
近代以前は宗教や伝統に従って人々が行動していた(より正確に言うなら、本人たちはなぜそのような行動をするのかということすら意識していなかった)のに対し、近代以降は自分の行動の根拠を説明しなければならなくなりました。「富国強兵」や「進歩と発展」などがその根拠となっていた時期は根拠をそれ以上問わなくてもよかったのが、現代ではそうした共通の価値観(大きな物語)が衰退したので、どこまでも根拠を追い求めなければならなくなります。そうした時代においては、何も考えずに行動する(動物)か、「(根拠が不十分であることを認識しつつそれでも)あえて」行動するかのどちらかになります。東浩紀さんが前者の動物を是とした立場で、宮台真司さんが後者の「あえて」を擁護する立場でした。
ライトノベルは「あえて」楽しむという点に特徴があるのではないかと今のところ予想しております。