山びこ通信(2006.11)に掲載した「ことば」関連の記事をアップします。
「ことば」1年生
このクラスでは俳句をベースにして、文字の読み書きを学んでいます。毎回、プリントを通じて季節にあった親しみのある俳句を五首ずつ紹介していますが、子どもたちはまずこれらの俳句を暗唱し、続いてプリントの印字をまねて一字一句間違わないように筆写していきます。
この時期の子どもたちは、内容理解もさることながら、何より鉛筆を持って文字を書くことに喜びと誇りを持っています。そのちょうどよいきっかけを俳句が与えてくれるという仕組みです。
プリントには、何か自分の気持ちや考えを表すきっかけになる質問も混ぜてあります。たとえば、「きょう がっこうで たのしかったことは?」とか「ようちえんのときに いちばんたのしかったことは?」等。プリント学習の後は、お楽しみの絵本タイムです。先日はあまりに秋らしいよいお天気だったので、山の奥にある日だまりの場所(幼稚園では「ひみつの森」と呼んでいます)まで散歩に出かけ、そこで『もりのかくれんぼう』を読みました。
森の中で「かくれんぼう」に出会うというお話の中身と、絵本を読む「場」が一体化したため、お話を読み終わったあとも、あたりをキョロキョロ見回していた子どもたちでした。
(文責 山下太郎)
教材と内容は、1年生のクラスと基本的に同じです。小2になると漢字に対するあこがれ(難しい漢字を読み書きしたい)が強くなりますので、プリントでは漢字を用いて俳句を紹介しています(小1ではひらがなのみ)。
多少難しい漢字が含まれていても、読みは完璧です。すでに耳で「発音」を覚えているからです。いわゆる幼稚園時代からの素読の成果です。ただ、毎回同じような教材を使うとマンネリ化しますので、前回は俳句の書き取りに挑戦してもらいました。「もう覚えた!」と最初は威勢のよかった子どもたちも、真っ白い紙を目の前にして、いわば「足の届かない」海で泳ぐような不安を味わったことと思います。勉強の基本は足下をじっくり固めることです。
簡単に思えることでも何度も繰り返し、揺るぎない自信を身につけてもらえたらと願っています。この日は時間を決めて、自分の気に入った俳句を一つ選び、色鉛筆を用いてそのさし絵を描いてもらいました。できあがった絵を見せあい、互いにそれが何の俳句か当てるゲームをしました。「一所懸命」という言葉がありますが、今は俳句の学習を中心に据えながら、子どもたちの未来の自信の種まきをしています。
(文責 山下太郎)