高木です。
今日は、書いてきてもらった「朝のリレー」の感想文を発表してもらいました。
彼らの感想の面白さを説明するために、詩の後半部分をもう一度引用しておきます。
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
T君は、「地球を守る」というところについて、
一体何から地球を守っているのだろうと感じたのだそうです。
そう言われてみれば、そのとおりです。
具体的に「何から」とは言えないところ、そこが面白いのです。
一方U君は感想文で、この同じ「守る」というところを、
僕たちの「つながりを」守ることだと、読んでくれていました。
「地球を守る」というその意識こそが、僕たちのつながりを守っているのだと。
鋭いです。ハッとさせられました。
またU君は、「目覚時計のベルが鳴ってる」というところ、
その言葉のリズムが好きなのだそうです。
「鳴って「い」る」ではなく「鳴ってる」なのです。
なぜだかわからないけれど、その響きが好きだという感性は、
詩を読むうえで大切にしたいところですね。
一方T君は、やはりおなじ「目覚時計のベルが鳴ってる」を、
自分と誰かのつながりのしるしだと感じてくれました。
もし自分が眠りに就くとき、この言葉を思い出すと、
自分の一日が報われたような、とてもよい気持になるのだそう。
詩の言葉を自分に引きつけて捉えることができています。
図らずも同じ箇所を、それぞれの視点で考えてくれていました。
互評のときに、本当に「なるほど」とうなずきながら、
お互いの視点の面白さを、それぞれが説明してくれていました。
たった一つの正しい答えなどないこと、
それこそが言葉の面白さであることを、むしろ私が教わりました。
残りの時間で添削をしました。あとは家で清書です。
詩の解釈を巡り、二人の生徒さんそれぞれの持ち味がいかんなく発揮され、見事なハーモニーが奏でられている、と思いました。
>T君は、「地球を守る」というところについて、一体何から地球を守っているのだろう
日本語で発想するとなかなかこういう疑問は生まれません。この詩を英語に訳すとき、この手の疑問がわいてくるのが常ですが。