健哲です。
この日はBクラス同様、「空を描こう」という課題でしたが、雨のぱらつく不安定な空模様。
そこで、彬先生と相談して、今回は室内にて空を描く課題に変更しました。
春学期の「木を描こう」の一回目と同様、「心の中にある」空を描いてもらうこととなります。
最初に目にとまったのは、1年生のNちゃんとMちゃん。
刷毛を使って大胆に画面全体を水で濡らしてゆきます。そのような手順を指示したわけでもないのですが、何かプロっぽい手法を思わせ、ワクワクさせられました。
二人とも、2枚ずつ作品を仕上げてくれました。
(I.Nちゃん作。「できた!」と言って持ち上げてくれた紙の上をじわっと絵の具が流れていきました。それも表現の方法の可能性の一つです。空の中のヨットにお気付きでしょうか。2枚目の虹のグラデーションもすてきです。)
(Mちゃん作。根気よく絵の具を動かし、変化を楽しんでいました。その筆跡が、絵の雰囲気を決定づけています。いずれも滲みが生きた表現です。)
5年生のU君は、画面下から左右に刷毛でスーッと青の絵の具を引いていきます。
淡い色使いはお手のものです。いつもどおりの落ち着いた、静かな筆運びの中にも、いつもとは違う大胆さが感じられます。
見る見ると画面全体に絵の具がのって、燃えるような夕焼けの赤に染まりました。
また、霞がかったような、塗りむらの感じが、全体に温かい雰囲気を作り出しています。
夕日の滲み具合が絶妙です。
二枚目の作品では、紙を垂直に立てて、垂らした絵の具を這わせることで、雨を表現しました(写真は部分拡大)。
3年生のHちゃんは、しばらくの間、白い画面を見つめていました。そして、画面下から刷毛を使って青を引きはじめました。一色ですっと消えていくようなぼかしです。
続けて赤をのせ、様子をみながら丹念に、筆を左右に動かし続けていました。それが功を奏したのか、美しいグラデーションを作ることに成功しています。
最後に置いた黄色がじわっと広がり、絵に輝きをもたらしました。
3年生のJちゃん。こちらも大胆に、まずは画面全体に青をのせてゆきます。
やや深めの青で、夜が近い空にも見えます。その上をさらに筆で擦ると、絵の具を押しのけ筆跡が模様をつくりますが、また、周囲の絵の具が押し寄せてきて、模様が消えてゆきます。試行錯誤しているようです。
そのうち新たに丸筆に付けた青の絵の具を、トントンとまばらに置いてゆきます。今度は後からのせた絵の具が、先にのせておいた絵の具を押しのけてゆく現象が起き、面白い表現が生まれています。
自由奔放な雨粒たち。まるで踊っているかのようです。
2年生のNちゃんも、のびのびと、自由な実験を楽しんでくれた様子です。
ご家庭でも大変積極的に自主製作をして、教室に持ってきてくれるNちゃん。
それら全ての絵は、自由そのものであり、彼女の世界が色濃く表出しています。
また、色々な描き方を試して楽しんだ様子がありありと伝わってくるものです。
今回の教室では、画面の上に垂らした水滴に、絵の具をつけた筆先で触れると、一瞬にして水滴が色に染まる現象を発見して楽しんでいました。
注射器を差し込んでいくかのように、ちゅっ、ちゅっとテンポよく、水玉を染めてゆきます。
「このままね」と言って慎重に手渡してくれた完成品の上を、表面張力で盛り上がった水玉が、プルプル震えています。確かに、ずっとこのままだったら楽しいでしょうね。
描いている間、お天気雨のことや、台風のときに傘が飛んでいったことなどを、楽しそうに話してくれました。
今回は、秋空の下で描くことは叶いませんでしたが、各自が悩みながら、表現を模索してゆく中に、大きな収穫があったのではないでしょうか。