健哲です。
この秋学期から、クラスの様子を随所、ご報告して参りたいと思います。クラスの後、即座にアップ出来る事は少ないかもしれませんが、徐々に時間差を縮められるよう、努めて参りたいと思います。
また、出来事の順序とは関係なく、ふいに回想録のようなものを書くことも、あるかもしれません。
どうぞよろしくお願い致します。
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今回は、「空を描こう」という課題に取り組んでもらいました。
空の大スペクタクルを眺めていると、もうこれは、そのまま水彩画じゃないか!と驚嘆し、胸が躍ることがあります。「かいが」クラスの先生は「自然」の万物であり、空もまた、絵画の大先生です。
この課題では、画面をいっぱいに使って、のびのびと水彩絵の具による「実験」を行ってもらい、そこに生じる「様々な絵の具の振舞い」を体験してもらうことが、大きなねらいのひとつです。
教室で課題の説明をし、簡単なデモンストレーションを行いました。
今回用意したのは「ホワイトワトソン」という水彩紙。
この上に、まず、水で溶いた絵の具をそのまま塗ってみます。
今度は、平筆大(刷毛)で水を引いた上から同様に塗るとどうなるか、最初に塗った絵の具の上を水だけを含ませた筆でなぞるとどうなるかを、見てもらいました。
さらに、今日はいつもよりたっぷりの水で絵の具を溶いてみる事を、みんなに勧めました。
その方が、絵の具が「動いて」くれるからです。そして、形にとらわれず、思い切って色々と試してみるよう、提案しました。
外は汗ばむほどの陽気で、青空は冴え渡り、綿のような雲が所々に浮んでいました。
まずは各自にじっくりと空を眺めてもらい、描く場所を決めてもらいます。春学期に上終公園へ出かけたときと同じ要領です。
M君はまっさきにジャングルジムの上に登り、しばらく空を眺めたあと、そこで描く事に決めました。道具の置き場所には多少、困っている様子でしたが、工夫して乗り越えたようです。何よりも、空に近づきたいという気持ちが、尊く感じられました。
K君は園庭の北側、ゆき組園舎のアプローチの上に、道具を並べ始めました。木々に邪魔されず、広く空を見渡せる立ち位置です。
一方、CちゃんとIちゃんは、仲良くブランコに腰かけてのスタートです。眼前の大きな桜の木とその向こう側にある背の高い木々の枝が大きく視界を遮っており、「大丈夫かな?」と思いましたが、枝の編み目からくっきりと、眩しく光る太陽がのぞいています。
時刻は16時20分。日は随分と西へ傾き始めていました。
CちゃんはK君に対してもそうですが、低学年に対し、いつも気さくに接してくれます。
Iちゃんがいつも肩を並べて描いていた2年生のお姉さん、Nちゃんが火曜日クラスに移ったので少し心配していましたが、Cちゃんと楽しそうに言葉を交わしながら取り組んでいるIちゃんの姿を見て、大変うれしく思いました。
どうやら二人は夕日を描こうとしているようです。
園庭の時計が17時をまわる頃、絵は次々に完成してゆきました。
Iちゃんの作品は、筆づかいが生きており、燃えるような太陽の力強さ、やわらかさが同時に伝わってくるようです(左上)。
Cちゃんは、鮮やかな黄色で、夕日を描きました。くっきりと、丹念に描かれた太陽の輪郭が、堂々とした印象を与え、空へ溶け出した部分が柔らかさを加えています(左下)。
二人とも、パレットの上で混色し、一生懸命に夕日の色を探していました。
K君は、筆をとるときは空に背を向けた格好でしたが、振り返っては空を見上げ、立ったりしゃがんだり、体中で描いていました。その絵には、とらえどころのない雲のかたちを一生懸命にとどめようとした痕跡がはっきりと見えます。右上に見えるのは、南東の空に、太陽を追いかけるようにして浮かびはじめた月です(右)。
M君は、青々した空の中にも、赤みがかった色がある事を感じ取り、おもいのままに描いたようです。また、太陽が光っている感じを、どのようにしたら表せるか、試行錯誤を重ねていました。赤、青、貴の対比がきいています。
最後はめずらしく時間があまったので、青空の下、飛び入り参加のとら猫さんと一緒に、つかの間園庭を駆け回り、クラスは終了しました。放り投げたドングリに飛びつく猫。彼(?)の名前は協議の結果「聖徳太子」に決まったようです(M君命名)。
帰り道、石段を下りてゆくと、眼前に夕焼け空がぱっと広がります。
「あ、I が描いた色と一緒になってる!」
嬉しそうにIちゃんが笑いました。
「そのちょっと前は、私が描いた色だった!」
とCちゃんが続けます。
本当に、そのとおりでした。
二人の絵が、予知であったのか、夕日が彼女たちに応じてくれたのか。
何か言いようの無い、感謝の込み上げてくる一日でした。
エントリーを見落としていました。山びこ通信の記事のような、充実したエントリーをお書きくださり、ありがとうございます。やはり、画像があると、説得力が増しますね。参加した生徒たちにとって、この記事は価値ある思い出となるでしょう。