0925 調査研究入門

引き続きケータイ小説、さらにはインターネットテクノロジーが小説にもたらした影響についての考察を進めました。

 

深く考察するためにはそのテーマについて書かれた文献を参照するのが早道です。石原千秋『ケータイ小説は文学か』と本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』を参照しました。

 

前者からはリアルとリアリティの違いという示唆を受けました。たいていの小説はリアル(実際の現実)ではなくリアリティ(現実っぽさ)を重視しますが、ケータイ小説ではリアルがあるのだと著者は論じます。これまで私たちが考えてきた図式では虚構と現実とを対比させてきましたが、現実をリアルとリアリティに分けて考えることができそうです。

 

しかし著者の言うことを鵜呑みにすることも危険です。ケータイ小説にリアルが描かれているとは限りません。ケータイ小説では作家名と主人公名が一致することが多いですが、それは必ずしもリアルな体験だということを意味しているわけではありません。むしろこうであったらいいなという理想の表れかもしれません。聞くところによると、ケータイ小説(ウェブ小説)には主人公に自分の名前をつけることができるようになっていることもあるそうです。ドラゴンクエストなどのゲームで主人公に自分の名前を付けるのと似ています。各自が個別に楽しむという点で、カラオケの普及ともつながるかもしれません。

 

後者の『なぜケータイ小説は売れるのか』からは、ライトノベルの読者は冷めていて(シニカル)、ケータイ小説の読者は真実の愛といったものを信じているという対比のさせ方に考えさせられました。

 

どうやら「現実」といったあたりに興味の中心がありそうです。