「山びこ通信(2014年度冬学期号)」より、下記の記事を転載致します。
『高校英語』(2〜3年)、『英語文法』、『中学英語』(1〜2年/ 3年)、『英語講読』(カズオ・イシグロ)、『ことば』(3〜4年)、山の学校ゼミ『倫理/ 調査研究』
担当 浅野直樹
テストのためだけの学習ではなく、リアルな素材で真の学びができることを追求しています。
中学英語のクラスではNHKラジオの基礎英語を活用しています。ネイティブ講師による発音がリアルなのはもちろん、学習指導要領にとらわれない文法や単語が登場し、教養があればニヤリとさせられる場面さえあります(ShakesbearやCharles Chickensといった人物が登場しましたが、それぞれShakespeareやCharles Dickensを想起させます)。また、英語で書かれた小話を読むという活動を取り入れたクラスもあり、解説なしで笑ってもらえることを目標にしています。
高校英語のクラスでは数行程度の英文を和訳してもらうという構文練習を続けています。文法説明のために作られた英文とは異なり、数行とはいえ内容があるので、文脈から理解できたり、逆に文脈がわからないせいで余計に困るということもあります。
英語文法クラスでは文法を一通り学習し終えてからは、Winnie the Pooh(『クマのプーさん』)を読んでいます。そこにはプーさんたちのおバカさを示すエピソードがたくさんあり、こちらが英語を読み間違えているのかと思わされることもしばしばです。
英語講読(カズオ・イシグロ)のクラスはその名の通りカズオ・イシグロのThe Remains of the Dayを読んでいます。意外なことに、こうした作品を読むためにこそ日本の英語教育で習う文法が役立ちます。倒置形による仮定法、no+比較級のいわゆるクジラ構文、not so much A as B(AというよりむしろB)といった硬い表現が多いからです。
リアルな素材で真の学びを目指すというのは何も英語クラスに限ったことではありません。倫理のクラスではギリシャ神話、聖書、クルアーン、仏教関係の書物からけっこうな分量を抜粋してきてそれらを味わっています。そうすることで各宗教の特徴が自然とつかめてきます。調査研究クラスでは現実社会での疑問を粘り強く考えています。ことば3〜4年クラスでは推理小説を読んだり書いたりするという活動をしています。生徒たちが書く原稿を見ると、どこでそうした表現を覚えたのかと驚かされることがあります。学校で学んだことだけでなく、生活全体で学んだことが表現されているのだと思います。