浅野です。
カントの実践理性について読みました。
カントによると大事なのは個人的な好みではなく普遍的な義務です。同じように人に親切にするとしても、世話好きの人が自分の好みで親切にするよりも、そうでない人が義務に基づいて親切にするほうが価値があると彼は言います。そして何が義務に値するかということは、それが普遍的法則として妥当するかどうかを基準に判断されます。例えばうそをつくということは、普遍的にみんながうそをつくとそもそも約束が成り立たなくなるので、これが義務になることはないといったように判断されます。
この強力な普遍志向が近代っぽさを感じさせ、近代の後の現代からすると違和感が残るという感想が出されました。カント的な発想だと、学校へ行くのは義務だということで全員が学校に行くことが求められますが、現代的な発想だと個性に応じて行きたければ行けばいいし行きたくなければ行かなくてもよいという価値観が強くなってきています。カントの義務論には尊敬以外の感情がないように見えるので、息苦しく感じるのです。
カントをいかに乗り越えるかがこれからの課題です。