浅野です。
ルソーの『エミール』つながりでカントに入りました(カントはルソーの『エミール』を読んで感激したと言われています)。
カントの『純粋理性批判』は大部なので『プロレゴメナ』を選びました。それでもやはり難解です。
味や色は(そしてカントに言わせれば時間や空間も)、それそのものが存在するままに我々が認識しているのではなく、物自体とは別個に我々が経験しているものである、というのが主要な理屈です。この区別により、自由と必然、神の存在といったアンチノミー(二律背反)が解決されます。物自体のレベルでは自由であるが、我々の認識は必然的な法則に支配されているといった具合です。
こうしたことが非常に緻密に記述されています。苦労しながら『プロレゴメナ』の抜粋を読み、上のような私なりの解釈を交えて、存在と認識とを切り離す思考方法を楽しみました。