高木です。
このクラスも今年度は今日で最後。
詩は、一番最初のクラスで朗読し、春学期の終わりにも読んだものを、もう一度朗読しました。
月夜の浜辺
中原中也
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
月に向ってそれは抛(ほう)れず
浪に向ってそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁(し)み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
T君は、以前お配りしたプリントをファイルから探して、そちらで読んでくれました(笑)
このクラスに最初からいたM君も、夏休み前から始めたT君も、この詩は初回に読んでいたのですが、
今日朗読してもらうと、言葉をきちんと分節で区切って、リズムに乗って、とても成長されたことが分かりました。
聴いていて、本当に感慨深かったです。
漢字の成り立ちは、「水」の部の4回目。
「消」「浅」「深」を学び、チャレンジ問題として「探」「満」を考えました。
穴(㓁)を火(木)で照らして深く探す形が「深」ですが、それを見てT君、「『探』は『手さぐりや!』」と即答。
「満」は難しかったのですが、蓋をした水瓶にヒシャクが入っている絵を描いてくれました。
一応正解は、礼装用の着物の前掛に刺繍が満ちている形なのですが、正解よりも正解らしい答えに驚きました。
クラスの始まる前にT君が、机で一人、小さなノートに何かを書き込んでいるので、何を書いているのか尋ねてみると、「漢字の特別読みやで!」と、難読漢字がぎっしり書かれたノートを見せてくれました。
これまで授業でとりあげたものもありましたが、ほとんどT君自身が調べたものでした。
「鼯鼠」や「丁抹」などは、私も初めて知りました。
ちなみに「鼯鼠」は「むささび」、「丁抹」は「デンマーク」と読むのだそうです。
最後はいつものように「ひみつ道具作り」です。
今日は二人とも、空想の動物を生む道具を作ってくれました。
T君は《空想動物製造ランド》というタイトルにもあるように、その動物と触れ合える場所も含めて描いてくれました。
またM君は、「おわる時は、水をかけると、かってにねる」など、面白い設定も一緒に考えてくれました。
同様のテーマでも、それぞれがそれぞれのしかたで道具を作って、説明文を書いてくれました。
お互いが良い影響を与え合い、切磋琢磨し合う様子を見て、なんとも頼もしく感じました。
4月の最初の時間にこの詩を扱われたのですね。そのときの授業の記録を見つけました。
http://www.kitashirakawa.jp/yama/log/eid1330.html#sequel
二つのエントリーを読み比べると、一年は早いなあという気持ちと、逆に、一年は長いなあという気持ちと二つが不思議な具合に混ざり合います。ほんとのところ、どちらなんでしょうね(笑)。
一年間、有り難うございました。