福西です。秋学期の初回は、A、Bクラス合同でしました。ダンボールがたくさんたまってきたので、それを使って、部屋いっぱいに通路を作りました。
写真には撮れていないのですが、ちょうどエンデの『モモ』に出てくるような、「なりきり遊び」の雰囲気のようでした。めいめいがガムテープとカッターナイフを持って、あれやこれやと自分のイメージを素直に形にしていき、またそれを互いに持ち寄って「より大きなもの」へと発展させていました。「そっちとこっち、つなげよう!」「いいね!じゃあ、ここに穴を開けて通れるようにしよう!」と、阿吽の呼吸でダンボールの道をつなげてできていったものは、まるで部屋いっぱいに出現した巨大なアリの巣のようでした。それは、自由度の高さを自分たちで上手にコントロールする中で得られた、大きな一つの達成感、共有地の感覚だったと思います。
ダンボールの中に入ったきり、いつまでも姿を隠して出てこないので、こちらが心配して「大丈夫か?」と声をかけることもしばしばありました。ちゃんと返事をするので、中をのぞいてみると、暗がりの中で一生懸命ガムテープを張る作業をしていました。「見て!ここ、こういうふうにしたんやで」と誇らしげに満足した表情を返してくれていました。その間、一体彼らのうちにどんな時間が流れていたのかなと思います。多分ですが、思い出になることのできるような時間の感覚というものは、こういう口ではちょっとやそっとでは言い表せない、渾然としたものなのかもしれません。
私は終始、彼らの様子をほとんど見守っているだけでした。しかしながら、その「見守っているだけ」というのが、とても楽しいと感じられるひと時でした。かつて自分も体験したことがあるものを、追体験していたからなのだろうと思います。素手での演出でしたが、正真正銘、彼らが主人公(たち)を演じていた時間でした。
最後に、「楽しかった」という満足した声が聞かれたので、そういう時間を持ててよかったと思いました。
またダンボールが増えたらすることにしましょう。
次回は、Aクラス(1~2年生)は9/1(月)、Bクラス(3年生以上)は9/8(月)です。