ことば1~2年B(0611,18,25)(その2)

福西です。(その1)の続きです。

後半は、以下の素話をしました。

『スフィンクス』

むかし、ギリシアにテーバイという都がありました。そこをライオスという王様がおさめていました。

この王様は、とても強い王様でしたが、気短かで、「自分の子どもに殺される」というお告げを受けていました。それで赤ん坊が生まれるとすぐに、おきさきのイオカステに命じて殺させようとしました。

どうやって殺そうとしたかというと、赤ん坊の、両方のかかとを金ぐしで刺し貫いて、そのままの状態で山の中に置き去りにしておいたのでした。そうすれば、昔のことなので、一晩のうちにおおかみがやってきて食べてしまうだろうと思ったからです。

けれども実はその子どもは生きていました。おきさきさまがこっそり信頼できる羊飼いにたのんで、助けておいたのでした。そしてその子どもは羊飼いから隣のコリントスという都の王様に預けられ、その王様の子どもとして、オイディプスという名前で育てられました。オイディプスとは、「はれたかかと」という意味です。金ぐしをぬいたかかとが、はれていたからでした。

その頃、テーバイへと通じる山道に、スフィンクスという名前の怪物が現れて、人々を苦しめていました。この怪物は、頭が人間の女で、体はライオン、そして大きな翼を持っていました。そして道行く人になぞをかけては、それを解けない者を食べてしまうのでした。

スフィンクスの出る道を通らなければ、人は三日も四日も余計に回り道をしなければなりません。そこで困ったテーバイの人たちは、何度もこのスフィンクスを退治しようとしました。けれども帰ってくる人は誰一人いませんでした。スフィンクスは、自分の知恵に勝てる者はいないのだと大層うぬぼれました。

テーバイの王様のライオスは、この事態をどうすればよいのか、お告げをもらいにデルポイという神殿へ行きました。けれどもその途中にある三叉路の狭い道で盗賊にあって殺されてしまったという噂でした。

王様のいなくなってしまったテーバイの人々は、ますます困りはて、ついには「スフィンクスを倒した者には、きさきのイオカステを与える」というおふれを出しました。

さて、そのスフィンクスの出るという道に、ある一人の若い旅人が通りがかりました。それは立派な若者に成長したあのオイディプスでした。気短かなオイディプスは人がとめるのも聞かずに、スフィンクスの出る道を通ってテーバイへ旅しようとしていたのでした。オイディプスは、「父を殺し、母と結婚する」というお告げを受けていたので、自分を育ててくれた大事なコリントスの王様とおきさき様から、自分から離れようとして旅していたのです。

もちろんオイディプスの前にスフィンクスは現れました。そして、こうなぞをかけました。

「一つの声を持ちながら、朝には四本足、昼には二本足、夜には三本足になるものは何だ。そのものは生き物中で最も姿を変える」

と。

しかし、オイディプスは堂々と、すぐに答えました。

「それは人間である」と。「なぜなら、赤ん坊のときは四本足で歩き、大人になると二本足で立つ。そして老人になると杖をついて三本足だからだ」と。

するとスフィンクスは怒って襲いかかるように見えましたが、オイディプスの姿を見るなり、「お前もいつか私のようになるだろう」と言い残して、飛び去っていってしまいました。言い伝えでは、このスフィンクスは、自分が一番賢いと思っていたことを恥じるあまり、崖から身を投げて死んでしまったそうです。

このようにオイディプスは知恵でスフィンクスを退治し、それによって王様がいなかったテーバイの人々から望まれて、イオカステと結婚し、新しい王様となりました。

そしてオイディプスが王様になってからのテーバイの都は、ふたたび平和を取り戻しました。オイディプスもまた、イオカステとの間に四人の子どもが産まれ、幸せに暮らしました。

しかし、悲劇はそのあとに待ち構えていたのです。それは、みんなが大人になってからのお話です。