ラテン語講習会のクラスだより

4年前、「東京に山の学校があればありがたい」というお声をきっかけにラテン語の出張講習会を始めました。予想を超えるお申し込みと受講生の熱気に押される形で、以来月に一度の割合で東京と京都で講習会を行なっています。京都で開くのは、毎週山の学校に通えない方のニーズに応えるためです。

参加者は山の学校と同じく学生、主婦、会社員、教員、退職したシニアなど様々です。「すべての道はラテン語に通ず」と言いたくなるほど、動機こそ違えどもラテン語に対する熱い思いを共有する点でみな同じです。

当初は文法のクラスだけでしたが、今は文法を終えた人のための講読クラスもご用意し、キケローの「スキーピオーの夢」と「アルキアース弁護」を読んでいます。それぞれ1回3時間の授業ですが、文法クラスは6回(合計18時間)で全体の鳥瞰図が得られるように工夫し、文法を一通り終えたら講読クラスで原典講読に挑戦するという流れになっています。

文法のクラスでは自著『しっかり学ぶ初級ラテン語』を教科書に使っています。解答に至るまでの考え方を丁寧に説明しているので一人でも十分学べる内容になっていますが、例文も練習問題も古典作品からの引用が多く含まれるため、しっかり読み込んでいくと訳語の選択に迷う場合も多々出てきます。講習会では、そうした疑問にもお答えするよう心がけ、適宜オリジナルの文脈の解説にも踏み込んでいます。

講読コースの参加者には、事前に原典の一字一句について詳しい語釈を施したオリジナル資料をお渡しし、予習に役立てていただいています。この資料では、et(そして)一つに至るまで個々の単語の意味と文中の役割を詳述してあるので、この資料があれば一人でもキケローの読解に挑戦できる内容になっています。ただしラテン語の常、別解はいくらでもありますので、クラスでは資料に書いた説明と異なる解釈も検討しながら、1度に2節のペースでじっくりと読み進めています。(山下太郎)

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