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 📖『財政・金融政策の転換点─日本経済の再生プラン』(飯田泰之、中公新書)

 月曜 18:40~20:00 講師:谷田 利文

<2025年度>

これまでこのクラスでは、L・ランダル・レイ『MMT現代貨幣理論入門』、ジャン・ティロール『良き社会のための経済学』、ガイ・スタンディング『ベーシック・インカムへの道』、アダム・スミス『国富論』、依田高典『「ココロ」の経済学』を読みました。

2025年度は、衆院選でも話題になった「高圧経済」や、健全な国家財政のあり方について学ぶクラスにしたいと考えています。「高圧経済」とは需要の効果を強調し、適切な範囲で需要超過状態となるような政策を実行し、経済を成長させようという考え方です。また、財政については、プライマリー・バランス(国債を除いた場合の政府等の基礎的な財政収支)ではなく、債務対GDP比率を基準にしようという議論も高まっています。つまり、経済が成長してGDPが増大するなら、債務額が変わらなくても、比率は低下するため、財政は健全化しているという考え方です。

プライマリー・バランスにこだわり、景気が上向きになるとすぐに増税するのではなく、経済成長こそが最大の財源だと考え、減税などで需要を喚起することを重視しなければならないのではないか。「手取りを増やす」ための基礎控除額の引き上げも、この「高圧経済」や新しい財政の考え方に基づいています。

テキストは以下のうちの①から読み始め、次に受講される方と相談して、②か③を読みたいと考えています。

①飯田泰之『財政・金融政策の転換点ーー日本経済の再生プラン』中公新書、2023年。

②バリー・アイケングリーン、アスマー・エル=ガナイニー、ルイ・エステベス、クリス・ジェイムズ・ミッチェナー、岡崎哲二監訳、月谷真紀訳『国家の債務を擁護するーー公的債務の世界史』日本経済新聞出版、2023年。

③オリヴィエ・ブランシャール、田代毅訳『21世紀の財政政策ーー低金利・高債務下の正しい経済戦略』日本経済新聞出版、2023年。

先の衆院選後には「103万円の壁」について、さまざまなメディアで議論されるようになりました。シルバー民主主義の中で無力感を感じていた大学生や現役世代の中に、自分の1票が政策の実現を通して、自分の生活を変えうるという実感が高まりつつあるのを感じます。どの政策が妥当か、主権者として自分たちで考え判断していくため、一緒に学んでいく機会となればと考えています。

 

<2024年度>

『もう一つの声で──心理学の理論とケアの倫理』(キャロル・ギリガン著、風行社)

2023年度>

アダム・スミス『国富論』中公文庫


依田高典『「ココロ」の経済学ーー行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(ちくま新書)

<2022年度>

テキスト:ガイ・スタンディング『ベーシックインカムへの道』プレジデント社、2018年 を扱いました。
AI化により、生きるために最低限必要なお金は国が支給する「脱労働社会」が到来するという見解があります。この見解への賛否はひとまず置いておくとしても、近い将来、労働のあり方や勤労意識について問い直さざるをえない事態を迎えるのではないかと考えています。また、コロナによって、日本でも国民全員への10万円支給が実現し、スペインが導入を決定するなど、ベーシックインカムへの関心の高まりを感じています。このクラスでは、ベーシックインカムについての基本書を読み、その理解を深め、その是非や、日本における実現の可能性について、みなさんで議論できればと思っています。関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

<2021年度>
MMTについてのクラスを終え、次に読む本として、参加されている方が序文を読んで感動し、経済に関心もつきっかけになったというこの本を選びました。
この本はノーベル経済学賞を受賞したジャン・ティロールが、数式を使わず一般向けに経済学について語った本で、経済学の目的を、社会全体にとって良いこと(共通善)を求めることだと定義しています。国、性別、人種、宗教等を選べないとすると、どんな社会に生まれたいか?そんな誰にとっても良い社会を経済学は求めるべきだとする考え方です。関心を持ち、一緒に読んでみたいと思われた方は、是非ご参加ください。