春学期2回目の記録。
Bクラスでも、色鉛筆による実験が繰り広げられています。
先日A(火曜)クラスで、T君が校庭で見つけた石を持ってきていたので、これを紙にこすりつけて、面白いことが出来ないかやって見せました。
紙にひっかき傷をつけたあとに色鉛筆で塗ると、傷跡がうかびあがって見えます。T君はさっそくアオムシの絵で実践してくれました。
この体験を、B(木曜)クラスの冒頭でも紹介。今回は、ひっかくのに役立ちそうな竹串と、割り箸を用意していきました。
ラクガキ用に配った紙の上で、みんなの実験はしばらく続きました。
ある色を塗った上から傷をつけて、また別の色を重ねると、傷をつけたところだけ、最初の色が残り、面白い表現となります。他にも、無心でいくつもの色を重ねて作った色が、とても深みのある色だったりします。
そうやって、何となしにラクガキ感覚で手を動かしている時間は、「何かを描こう」という意識や気負いが無い分、純粋に描画材と対話する時間となります。
スポーツで言えば、準備運動にあたります。
みんなのラクガキ用紙の随所に表れた面白い発見を、私も発見しつつ、声をかけて回りました。
後半の制作では、それぞれの応用と工夫が見られました。
Iちゃんは、ライラックの幹の部分に傷をつけて、木肌の質感を強調することを考えました。
また、背景に色を添えることを思いつき、「夕焼けみたいな色にする」と言って、オレンジ色の色鉛筆を走らせた後、ティッシュでこすって広げました。
さらにピンク色を重ね、ライラックの花が、夕焼けの光に包まれる絵が完成しました。
Y君は前回に引き続き、カブトの幼虫をひたすら観察して描きます。彼は、幾度となく幼虫と触れ合ってきましたが、新しい発見、尽きることのない魅力をそこに見出しているようです。
この日は幼虫の輪郭や、体のひだを、ひっかいて描き、あとから色をのせるといった実験を繰り返しました。
他にも、いいな、と思う葉っぱを取ってきて、擦りだし(葉の上に紙を敷いて、上から色鉛筆で擦る)をしてみたり、今度はひっかいて葉っぱの形や葉脈を描き、浮かび上がらせる描き方を楽しんでいました。
更に、描いた葉っぱのまわりを切り取ってカード状にしています。葉っぱを(絵によって)採取したような感じがして、楽しいですね。
二人が室内制作する一方で、石段に腰掛けてニチニチソウ、ヤマブキの花をそれぞれ描く、Yちゃん、Rちゃんの様子。
Yちゃんの花は、まだ咲き続けていました。細い茎の先に、一輪だけ咲く紫色の花。それらの背景に、彩色を始めていた彼女。
薄曇りの日の茂みですから、どちらかと言えば、周囲は暗いのですが、彼女はオレンジやピンク、温かみのある背景を作っています。
「今日の気持ちで色を塗っていいんでしょう?」と、確かめるように、笑顔を見せてくれました。
Rちゃんのヤマブキは、花が全て萎んでしまいました。茶色く縮んだ花びらが、青々とした茂みに点々としています。
「萎んだところを、咲いているように描く!」
と意気込んでいましたが、しばらくして見に行くと、最初に描き始めた花の下には、そこには無い花器が。
そこには無い窓辺が。そして、手前にはテーブルのセット、その上に細い花瓶が置かれていて、同じくヤマブキが生けられています。
「そこには無いものも、描いていいんでしょう?」と、にっこり。
4人それぞれの創意工夫を心から嬉しく思う、一日でした。