ドラコがハーマイオニーにMudbloodと言ったことについて、ハグリッドの小屋で話している場面からです。
Mudbloodとは両親がマグルである人のことを指す侮辱語です。それに対してドラコやネヴィルはpure-bloodです。これは代々ずっと魔法使いの家系だということでしょう。しかしpure-bloodだからといって優秀だとは限りません。
An’ they haven’t invented a spell our Hermione can’t do,
このハグリッドの発言の解釈が分かれました。私はtheyを直前に話が及んだドラコやネヴィルを指すと考え、「そしてハーマイオニーができない呪文を彼らがこしらえたことはない」と解釈しました。呪文をinventするというのは大げさな気もしますが、ハーマイオニーがロックハート先生の授業で小人を駆除した時のように、創意工夫をもって呪文を使うのでそれほどおかしくはないと考えました。それに対し既存の日本語訳では、theyを魔法使い全体を指すと捉えて、「そしてハーマイオニーが使えない呪文はない」といったような趣旨で訳されていました。この場合は最後のdoをinventの代動詞ではなく本動詞と取らなければならないので、do a spellという辞書に載っていない表現を甘受しなければなりません。
ハグリッドに言わせれば、Mudbloodは呪いをかけようとしても無理はないほどのひどい言葉なのですが、ドラコに呪いをかけなかったのはよかったとのことです。確かにそうなれば今度こそ追放も免れなかったでしょう。
gotta bone ter pick with yeh
have a bone to pick with youで「あなたに文句がある」という慣用表現になります。この慣用表現のもともとの意味合いがいまいちつかめませんでした。英語 慣用句 have a bone to pick with 不満がある 言いたいことがある 起源・語源や他言語との比較によると、一本の骨を取り合っている二匹の犬といったイメージが想起されるそうです。
そしてハグリッドはハリーに対してサイン入り写真の話を持ち出します。ハリーは怒りましたが、ハグリッドはすぐに冗談だと言って場を収めました。このあたりの描写からすると、ロックハート先生はサイン入り写真のことを未だに話したり、ハグリッドの発言を気に入らなかったという様子を示したりしているので、単に能天気なだけの人ではないのかもしれません。
お茶を飲み終えて小屋の裏の野菜畑に行きました。するとそこには岩ほどの大きさのかぼちゃが育ててありました。ハグリッドがちょっと魔法で成長を促進させているようです。なぜだかはわかりませんが、ハグリッドは魔法を使ってはいけないことになっています。そのことを知ってか知らずか、ハーマイオニーは半分不同意、半分楽しみでその魔法のことを言いました。
実はこの前にロンの妹のジニーもこのかぼちゃを見たそうです。彼女はハリーに会うことを期待していたとハグリッドは見抜いていました。そのやりとりを見てロンが笑ってなめくじを吐き出し、ハグリッドがかぼちゃにかからないようにするというシーンはコミカルです。
お腹がすいたこともあり学校のほうへ戻ると入り口でマクゴナガル先生に呼び止められ、居残り罰を言い渡されます。ロンがフィルチといっしょにトロフィー室の銀みがき、ハリーがロックハート先生のファンレターの返信手伝いです。お互いに苦手なことを言い渡されました。好意的に解釈すると、これも乗り越えて成長するための試練なのかもしれません。このことが気にかかって、ハリーは思っていたほど食事を楽しむことができませんでした。
嫌々ながらもハリーは言われた通りにロックハート先生のところへ行きます。先生の相手を適当にしながら作業をしていると、変な声が聞こえました。
It was a voice, a voice to chill the bone-marrow, a voice of breath-taking, ice-cold venom.
‘Come … come to me … let me rip you … let me tear you … let me kill you …’
Harry gave a huge jump and a large lilac blot appeared on Veronica Smethley’s street.
怖い場面です。しかしその声がロックハート先生には聞こえていないようでした。先生はハリーが眠そうになっているのだと思い、時間を確認してGreat Scottと軽い驚きを表して、ハリーを帰しました。
今回はここまでです。