かず6年(0509)

福西です。このあいだは「円」と「分数」について考えたので、今回は幾何の問題で少し別の角度から見てみることにしました。

今日の問題 「正20面の辺は何本か?」

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(色々な場合で『考えるT君』)

正20面体の面は、その名の通り、20あります。で、頂点はというと、これは少し数え方に工夫がいりますが、12見つかります。(6つの点でできたヒトデ型が、表と裏に1つずつ見えると思います)

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それでは、「辺(線)の数」は一体いくつあるのでしょうか?(──それを「20歳になるまでに(笑)、考えておいてください」)というのが、この日の導入部分でした。

 

その問題を考えるためのヒントとして、一枚の紙に、好きなだけ点を打ち、それを線で結んでいきます。そして、紙面(平面)全体を、三角形で分割する、という実験をしました。

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(こんな感じにです)

これを生徒たちにそれぞれやってもらいました。そして「点の数」と「線の数」を報告してもらい、それを聞いた私が、何も見ずに即座に「線の数」を予言する、という具合です。

 

Ta君「点が19、面が22」

私「むむむ・・・ならば、線は40であろう

(実際に数えてもらう)

Ta君「ほんまや、40や」

 

Ka君「オレは、点は22、面は34あった」

私「むむむ・・・ならば、線は55であろう

(実際に数えてもらう)

Ka君「54・・・55ある!ほんとや」

 

Yu君「ぼくは点が17で、面が28」

私「むむむ・・・ならば、線は44であろう

Ka君「おお、すげー!ほんとに44、ちゃんとある!」

Ta君「あ、分かった!~と~を足して、それより1少ない数になってるんや!」

私「ドキッ!(苦笑) そ、それは・・・」

 

まあ、そんな感じで、私が計算に使っている、「ある法則」に気が付いた人には、それがどんな場合でも成り立っているかどうかを調べてもらいました。

そしてそういう時は、シンプルにして考える(たとえば三角形を1つだけかいてみる)のが、たいていどんな時でも通用するコツです。そして、それに点を1つずつ増やしていくことで、面と線の数がそれぞれどのように増えていくか、またそれらの間に保存されている量がないかどうかを確認してもらいました。(それを「位相不変量」といいます)

あまり詳しいことを書きすぎると、「なんだか難しいことをやってるんだなあ」と思われてもいけないので(苦笑)、いろいろやって、いろいろ考えている、という様子が伝わればと思い、少しだけ写真に撮りました。

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(法則が予想できた人から、「なんでそうなるのかな?」を実験&考察してもらっているところ)

 

次に、紙面(平面)に穴が一つあいた場合は、どうなるのかも調べてもらいました。

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穴がない場合では、「線」VS「点+面の連合軍」で綱引きをした時、線の方が1つだけ負けるというのが、最初に調べて分かったことでした。ですが、それが穴が1つ開いた紙でも成り立つかどうかに興味があります。そこで、「さっきと同じ」「線が勝つ」「同点」といった予想を立てながら、同じようにして調べてもらいました。

ここでも、「おお、違う!」「あってた!」とそれぞれに驚きの歓声を上げてくれていました。

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(紙面(平面)に穴を二つ開けて、そのことで法則がどのように変化するかを調べているところ)

Ka君「ほら、日テレの『日』になる」

Yu君「ほんまや(^^)」

 

最後に、今日の本題である、正20面体の「線」の数を予想してもらい、実際にそれを印をつけて数えてもらいました。

はてさて、予想はどうだったでしょうか?生徒たちの親御さんは、ぜひお家でもそれを聞いてあげてください(^^)

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(20面体のサイコロに、「1つ、2つ・・・」と数えながら印をつけているところ)

 

ちなみに授業では紙(平面)を使いましたが、正20面体は、「立体の表面」(の三角形分割)を考えていることになります。つまり、ちょっとだけ特殊な平面です。そして穴が開いていた時がそうだったように、この場合も、

1)「平面」

2)「穴が1つ空いた平面」

3)「穴が2つ(以上)開いた平面」

のどれとも違う結果になります。

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(ヒントはこれ)

この日確認したように、平面では、穴が開いてさえいなければ、どんなふうに三角形で分割しても、ある量が一定になります。そのことから、線の数を「数えるまでもなく」言い当てることができました。となれば、この「正6面体(立方体)の表面」という平面で考えても、正20面体のそれで考えても、「ある量」というのは、変わらないことが予想されます。

ちなみに立方体では、点と線と面の数を数えることは容易で、すぐに

点=8、面=6、点+面=14

線=12

ということは、これまでの考察から、

「線は、点+面に2個差で負ける」

ということがわかります。であれば、正20面体でも・・・というように考えていくわけです。

 

また穴が開いていれば、それに応じて、「ある一定の量」というのが、少しだけ(穴の数に応じて規則的に)変化することも知りました。ということは、同様に、立体(サイコロ)に1つ穴を開けた「ドーナツ」、「めがね穴のドーナツ」・・・と考えを広げていっても、面白い発見ができることでしょう。

この話は、人間の頭髪には「つむじ」があることや、「流れるプールはなぜドーナツ型なのか?」といったことともつながります。それはしかし別の機会にまた話すことにしましょう。この日はこれで時間となりました。