このクラスでは、一年間をかけて、基礎的な問題演習と思考パズルに取り組んでいきます。
問題演習では、まずは市販のドリルを用いて、前の学年(5年生であれば4年生)の総復習を行ないます。すでに小学校で勉強したはずのことですが、おそらく苦手とする単元が見つかるでしょう。不正解ならもちろんのこと、たとえ正解して丸をもらったとしても、ああでもない、こうでもないと考えた末に、ほとんど一か八かで正解したような場合は、やはりまだ復習の余地があると判断できます。したがって次に取り組むべきは、こうした総復習の段階で見つかった弱点単元を、根気よく補強していくことです。こちらでご用意した生徒さん一人ひとりに合った問題プリントを、自分でコツをつかんで納得が行くまで、ゆっくりと解いていってもらいます。そして、もうその単元は自由自在だ、「向かうところ敵なし!」という域に達したら、もう一度ドリルに戻って、自分の力試しをします。おそらく最初にドリルを解いたときとの違いを実感できることでしょう。クラスの前半30分間の問題演習の時間では、こうしてドリルとプリントとを行き来しながら、現在の学年の土台になる部分を、しっかりと固めていきます。
後半の30分間は、より本質的に、数学的な考え方に親しむ時間にしたいと思っています。小学校の算数の内容はほぼ「実用」に即していますが、中学校、高校と上がるにしたがって、「これ何の役に立つの?」と言って、数学を学ぶ意味が曖昧になってくる人が多いようです。だんだん「実用」から離れていくように見えるからでしょう。しかし、数学(算数)を学ぶことの一つの意義は、おそらくその計算方法の習得や公式の暗記にあるというよりも、それを通して論理的な思考を育むことにあるのではないでしょうか。実際の生活で三次方程式や長大な証明問題を解くことは稀ですが、そこで根本的に働かせている合理的な思考方法は、もう一方の柱である想像(創造)力や情緒と並んで、人間が生きていく上で欠かせないものです。このクラスの後半では、そういう広い目で見た数学的な思考に親しむために、論理パズルなどに取り組みます。
高木 彬