このクラスでは、俳句づくり、創作、本読みなどを通して、言葉と向きあう時間を大切にしたいと思っています。
速く、たくさん本を読め。要領よく話せ。昨今、言葉に時間をかけることはあまり好ましくないこととされているようです。
もちろん、効率よく論理的に、読み、書き、話せるに越したことはありません。しかし、それは本来「結果」であるべきです。
そこに「目的」を置いてしまうと、『モモ』に出てくる「灰色の男」のように、本末転倒に陥ります。きっと言葉が、手っとり早く片づけたいもの、煩わしいものに化けてしまうことでしょう。
では、言葉とじっくり向きあうにはどうすればいいのか。
たとえば俳句づくりでは、実際に外へ出て、見つけたもの、感じたことなどを、気の赴くままに五七五にまとめてもらいます。そして、この俳句づくりを、春夏秋冬それぞれの季節ごとに数回ずつ実施します。
作品どうしを見比べることで、四季を通じた変化を感じることができるでしょう。
また創作では、構想から執筆・完成まで長い時間をかけて、こつこつと自分の世界をつくりあげていきます。
本読みにしても、できるだけ長篇を読んでいきたいと思っています。
どれも気の長い取り組みです。
しかし、良き親友は、二三日でできるものではありません。
こうした長い時間が、言葉への愛情と信頼を育むことになるでしょう。
あとは、誰に急かされなくとも、
自ら言葉の森に分け入っていくはずです。
その土台づくりを、このクラスでお手伝いできればと思っています。
高木 彬