退職された岸本先生の後任で新しく講師を勤めさせていただきます吉川です。これから毎回、授業報告や感想をここにのせていきたいと思います。
まずは、生徒さんと自己紹介。お互いに地元の話で盛り上がり初対面でしたがすぐに打ち解けた雰囲気になりました。偶然なことに私も生徒さんも海外に滞在した経験があるということが分かり、現地での経験談や武勇伝に花が咲きました。それと同時に、日本の外を自分の目で実際に見てきたという経験があることで外国の歴史や文化に興味がわいてくるだけでなく、逆に日本そのものを客観的に捉えてみたいとも思えるようになるのだと感じられました。
次に、事前に生徒さんに考えてきてほしいと私が伝えた質問について答えてもらいました。
①関心がある時事問題
歴史を学ぶということで重要になってくるのが、現在の問題意識だといえます。現在起こっていることの根本の原因とは何かという問いに大きく貢献するのが歴史学だからです。生徒さんはまず、海外については、「アラブの春」以降、長期にわたって混乱が続く中東情勢、尖閣諸島や各開発問題を巡って揺れ動く東アジア情勢といったところに関心があるようです。こうした国際問題は経済的利害にとどまらない価値観の領域を含めた議論が必要で、生徒さんも特にイスラーム世界の価値観について興味をもっているようでした。また、国内情勢についても深い関心を示し、何よりもこの前の衆議院選挙、そして次の参議院選挙の動向が気になるようです。今回の選挙では、日本の国のあり方そのものを見直す動きが見られますが、私は、民主主義というシステムの本質についてもう少し議論する必要があるのではないかと問題を提起しました。
②通史の中で興味を持った時代や地域
生徒さんは、中世・近代ヨーロッパを挙げておりました。とりわけて近代は情報量が一気に増えてきて論じるべき問題が多くなってくる点が面白いそうです。また、古代や中世といった時代区分そのものに興味をもたれていたのですが、これは歴史学を専攻する私から見てもものすごく良い目の付け所だと感心させられました。具体的な地域を尋ねたところ、ドイツを挙げていました。2度の大戦に敗れたにもかかわらず現在でもなおヨーロッパの中心国として君臨し続けているという点が面白いそうです。私は、ドイツは日本との関係(文化的関係、戦後発展の違い)においても考えるべき点がたくさんあるのではと付け加えたところ、大変興味を示しておりました。