浅野です。
Sさんは受験する大学の過去問題を用いて最後の調整をしているところです。
この種の問題は論理的に解くことができるので、Sさんはそれを得意としていたのですが、今回はあまりできなかったようです。いっしょに詳しく見るとその理由がわかりました。分詞の形容詞的用法の理解が甘かったのです。例えば次のような問題です。
同封している写真は、先月シンガポールへ家族旅行に行ったときのものです。
The photo (was / while / is / taken / one / I / enclosed / the) on a trip to Singapore with my family last month.
まず英文の骨格となる主語と動詞などを考えると。”The photo is the one.”と想像できます。次にwhileに着目すると、これは接続詞なので後に主語と動詞が必要なので、”while I was on a trip…”をつなげます。残ったのは”enclosed”と”taken”で、これらは動詞の過去分詞形です。しかし受動態や完了形の文を作る余地はないので、これらは形容詞として用います(分詞構文のこともありますがここでは不適です)。となると、”enclosed”は「同封された」という意味なので”The photo”を、”taken”は「撮られた」という意味なので”the one”を修飾します。全部つなげると
The photo enclosed is the one taken while I was on a trip to Singapore with my family last month.
となります。本来、形容詞は一語なら前から修飾、二語以上なら後ろから修飾するので”The enclosed photo”としたいところですが、問題の都合で上のようにしておきました。
分詞は動詞の一部として受動態や完了形を構成する以外に、形容詞として用いられることが多いです。分詞構文では副詞(接続詞)の働きをします。このように動詞・形容詞・副詞(接続詞)の働きを分かち持っているので「分詞」と呼ばれるわけですね。
Yさんからはある一文の意味が取りづらいという質問を受けました。詳細は忘れてしまいましたが、簡略化して示すと以下のような文です。
A realistic approach led him …
主語と動詞を探すことが第一歩です。しかしこの文ではそれが難しいのです。動詞の候補は”approach”と”led”です。Yさんもここで迷っていました。字を見ていると難しく感じますが、声に出して読むと気づくかもしれません。”A realistic…”と読むと次に名詞が来るかなと予想します。そう、この”approach”は名詞です。他方、”led”は過去形と過去分詞形が同じなのでどちらかわかりづらいです。しかし過去分詞形で形容詞として名詞を修飾するなら、”led by him”になるはずです。直後に名詞が来ているということはその名詞が目的語だと考えられます。
このように理論的に説明するとややこしくなりますが、英文をリズムをつけて読むことができるようになると瞬時に判断できるようになります。
入り組んだ話を丁寧に解説していただき、ありがとうございました。この手の問題を実際にどうやれば自力で解けるようになるのか?
この命題に対して、私は1)浅野先生がしてくださったように、文法の観点できちんと整理して理解できるようにする(→いわば1を聞いて10を知るやり方につながる)ことに加え、2)自分の実力より下だと思われるレベルの英文を多読し、理屈はさておき、英語はこういう具合になるのではないか?という直感に頼って解けるようにする(→自分でささっと英文のイメージをつくり、選択肢を自分から探しにかかる解き方)、という2つのアプローチがあるのだろうと思います。
1)をなおざりにするのであれば、2)を必死でやるしかありません。2)をやらなくても、1)を必死でやれば得点力はあがると思います。ただし、長文が苦手なまま困ることになります。
1)と2)のバランスをとり勉強を進めた人が、学校で展開するような3)レベルの高い語彙を含む読解演習を重ねると、いずれ、難しいと思っていた入試レベルの長文も、上記2)のレベルの長文のように易しく思える日が訪れます。
これは、英語に限らず、ラテン語についても言えることです。だから、たぶん当たっていると思います。