浅野です。
Sさんは入試に備えた問題をしていく中で、自分の弱点をよく把握してくれています。今回は語彙に焦点を当てました。
① ”I’d better call our neighbor to ask her to check the door of our apartment.” “You don’t have to do that. I remember ( ) it when we left.”
1 lock 2 locking 3 to be locked 4 to lock② You can choose either the train or the bus. If you want to save some time, the train would be better. The ( ) is a little bit higher, though.
1 cash 2 fare 3 fine 4 interest
一見同じような問題に見えますが、実は問われていることは全くと言ってよいほど異なっていることにお気づきでしょうか。①は昔ながらの文法問題です。文脈上過去の話なので(「出発するときにドアの鍵を閉めた」)、2のlockingが正解です。ここではこれ以上詳しくは立ち入りません。②は単に知っているか知らないかの話で、どれだけ考えてもわかりません。交通機関の運賃を表す語は2のfareしかありません。Sさんは②の系統が苦手なようです。そして最近ではこちらの系統がかなり多くなってきています。
大学入試の語彙ということでは、『システム英単語』(駿台文庫)がよくできていると個人的には思います。単語が並べてある形式の単語集なので、これだけで覚えようとするとつらいですが、今までにそれなりの分量の英文を読んできて、最後の確認をするためには使えます。
また、次のような文で質問を受けました。
He was fired becaue of the disease.
「この”fired”は動詞ですか? でも、火をつけるではないですよね?」と聞かれました。この質問が出ること自体が立派なことです。そこでせっかくなので先ほどの『システム英単語』の多義語の章を見てもらって解決しました。ここでの”fire”は「~をクビにする」という動詞です。
この文を見て”fired”が怪しいなと気づく感性が非常に大事です。その感性を短期間で教え込むことなどできません。日頃から自分で取り組み、考えてきた結果育まれるものです。そうした土台がしっかりしていたら、今ではよい参考書や問題集もたくさんあるので、少しの工夫で入試には対応できるはずです。
Yさんはいつもながらもっともな質問をしてくれます。
今回は比較の分野で、”Health is the most precious thing.”(健康は最も貴重なものだ。)の書き換えが、なぜ”Health is more precious than anything else.”となるのかと聞いてくれました。というのも、”Tom is the talles student.”(トムは一番背の高い生徒だ。)の書き換えは”Tom is taller than any other student.”になると参考書に書いてあったからです。そのルールからすると、”Health is more precious than any other thing.”となりそうなものです。実はこれでも正しいのです。単に短く言うためにanythingを使い、語順などの関係でotherではなくelseを用います。anythingやsomeoneなどの語は形容詞が後ろから修飾するのがややこしいです。残念ながら私にはその理由がわかりませんが。ともかく、そうした気づきを大切にしたいです。
今回のエントリーも重要なポイントをお書きくださったと思います。入試では、「文法」系は確実に得点し、「語彙」系は出たとこ勝負するほかないです。後者は運動会のパン食い競争みたいなもので、「本番」では、立ち止まって吟味しているだけ時間の無駄です。対策は先生が書かれた通りです。付け加えると、読解の勉強を重ねると、自然に語彙を強化していることになります。
ちなみに、センターの「文法」の大半は中学で学ぶ内容の変形です。言い換えると、難関高校の入試問題が「すらすら」解ける力があれば、解答の説明を「すらすら」理解できるでしょう。逆にそのあたりに問題をかかえていると、答えを教えてもらっても、それぞれの選択肢の区別の仕方が良く飲み込めないままです。
今回、浅野先生が紹介された remember + ing のパターンは高校入試にも大学入試にもよく出ます。remember + to 不定詞との区別が問われていると言えます。その意味で、stop + ing と stop + ing の区別をつける問題を思い出してよいでしょう。それぞれ異なる意味になります。
fire の例文も同じ事を示唆するのですが、中学レベルの基礎を磨くほど、「変だな?」というアンテナを磨くことになります。最初から情報は手に入りません。変だ?と思うから辞書に手が伸びるので、その結果「なるほど、そういうことだったのか!」と心から合点できるのです。このプロセスを人任せにする(=先生の説明をノートに写すだけ)ととてももったいないです。自分で調べる。これが鉄則です。
He runs a small restaurant. という英文の訳を出題すると、「彼はレストランで走る」と答える人が少なくないです。in の生むに無頓着なわけです。てきとーに文章を読むと、こういうところでつまづきます。文型の勉強が重要とも言えますが、中学時代に in を使った文章はいっぱい接するのです。基本ドリルを反復するとか、基本例文を英訳すると、ボロがいっぱい見つかります。それをつぶしていくのが近道だったりします。
大学受験生だから特別なことをする必要は必ずしもないです。プロ野球の選手もキャッチボールという小学生でもするようなことを練習で取り入れているはずです。キャッチボールができない状態であれば、ダブルプレーなどのトリッキーな練習はできないと思います。
今も昔も、そうしたアクロバティックなタイプの問題は人目を引くので教える方も、学ぶ方もありがたがりますが、本物の勉強はいつの時代も地味なものです。