浅野です。
Sさんからは、表やグラフと英文から内容を読み取ることに苦手意識があるとの相談を受けました。理系の学部に進むとこのような形式の英文を読む機会が多くなると思います。試しに一つの問題に挑戦してもらいました。
American college students are showing less interest in ( )-speaking countries for their destinations when it comes to studying abroad, though the United Kingdom still remains the most popular study destination in 2005.
この( )に入る語を知りたいのですが、考え方があります。意味を取ると「2005年にはイギリスがまだ一番人気のある留学先だけれども、アメリカ人大学生は留学先に( )を話す国への興味を失いつつあることを示している。」となります。though(日本語では「けれども」)に着目すると、( )内にはイギリスで話されている言葉、つまりEnglishが入ることがわかります。
この英文ではアメリカ人大学生の留学先の国別割合がグラフで示されていました。数値を見るとイギリスの人気が低下し、中国やブラジルの人気が高まっていることがわかります。ここから読み取れることとして、①「アメリカ人は英語以外の言語を学ぶことの重要性を発見しつつある。」か②「アジアや南アメリカの国々は新しい教育機会を急速に発達させている。」のどちらがよいかを選ぶのに苦労しました。ここまで来ると英語の問題というよりも論理の問題です。個人的にはどちらも論理の飛躍があってふさわしくないと思いますが(グラフからは事実は読み取れてもその理由は読み取れない)、①のほうがましかなとは思います。
Sさんはこれまでにコツコツと英語の構造をとる(和訳をする)ことに取り組んでくれて、内容を読み取る力は相当にあるので、表やグラフを読み取るときには特に論理を意識すればよいでしょう。
Yさんはすでにまとまった分量の英文を読むことができています。一年前を思い出すと進歩が著しいです。今回は読んでいる文章中に、”We clean the sword with lemon.”という一文が唐突に現れて、意味がわからないと質問されました。どういう意味だと思うかを聞き返すと、「レモンで剣をきれいにする」だと思うけれどもよくわからないと答えてくれました。この英文はその意味でしか取れないはずです。英語の構造をしっかりと理解しているおかげで、自分の想像に合うように意味をねじ曲げるようなことをしていないことに好印象を受けました。このような英文を読んで「剣でレモンを切る」のようにしてはいけません。
こんにちは、Matanoです。いつも、浅野先生の英語の解説を見て、自分の高校時代(の英語が全然わからなかった苦い思い出ばかり)を思い出しながら、勉強させていただいています。毎回、受講生の状態を把握されていて、丁寧にわかりやすく解説されている様子から、浅野先生に教えてもらっている方々を羨ましく思います。
わからないことをひとつずつ解決してゆく、それにとことんつきあってくださるのがお山の学校の先生方なのだと感じます。私もお山の学校に通ってから、ひとつずつの理解を積み重ねています。でも私は、「わかっていなかった自分」に気づくことの方が多いかもしれません(笑)なので、
>表やグラフと英文から内容を読み取ることに苦手意識があるとの相談を受けました。
と、自分の苦手がはっきりとわかっていて、しっかり解決しようという姿勢が、すごいなぁと思いました。
また、こっそり見ているので、英語のワンポイントアドバイスのコーナー(?)は是非続けてください。
(はじめてコメントします。お邪魔でしたら適当に削除してください。)
浅野先生のエントリーについて、漠然とすごいなーと感じていた自分の感想に的確な言葉を与えてくださったことに感謝いたします>Matano 様
原文を丁寧に読むとはどういうことか、今回のエントリーの二つの例が示しているように思いました。語学が苦手な人は、どうしても、「自分勝手に」読もうとしていやになるものですね。もう一歩突き詰めて言えば、辞書を引くのがめんどうであったり、前後を何度か読み返すのがめんどうであったり・・・。要は「めんどう」が邪魔をしています。でも、浅野先生がされているように、そうした「めんどう」を細かく分解し、一つ一つを丁寧に積み上げていけば、誰でも「おおっ!」と理解できる喜びに与ることができます。一回一回の授業はそうした喜びの経験の積み重ねであると感じます。自分にもできるかもしれない、と誰もが自信をもつことができると思います。
Y・M様、コメントありがとうございます。そう言っていただけると非常に励みになります。
実は私も高校時代の英語はわからなかった苦い思い出ばかりです。その後必要に迫られて勉強をし直すと少しずつ理解が深まってきました。ここで書いていることのほとんどは自分の高校時代などにはとてもわかっておらず、比較的最近に発見したことです。おそらくは誰もが同じような道を辿るものなのでしょう。
先にその道を進んだ者として助言ができればよいといつも思っていますが、せいぜいできたとしても助言することだけです。実際に進むことは自分でしてもらうよりほかありません。その点、「わからないことをひとつずつ解決してゆく、それにとことんつきあってくださる」のは生徒のほうかもしれません。
山の学校では文字通り共に山を上り下りするわけですが、それと同じように学びの道を共に進むことができれば幸せなことです。