ことば4年B(0222)

福西です。

今このクラスでは百人一首に取り組んでいますが、4年生の最後を飾るべく、記念に朗読用の音源を作っています。

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この日は手始めに、IちゃんとMちゃんとで10首ずつ。それぞれ好きな歌を選んで吹き込んでもらいました。最初は得意札にストックがあるので、「どれにしようかな~」とウキウキしながら迷っていました。その気持ちが、見ている方にも伝わってきて嬉しかったです。

百人一首の読み方で気を付けるパターンはだいたい以下の通りです。

1)あひ  → あい

2)あふ  → あう

3)けふ  → きょう

4)てふ  → ちょう

5)あふさか → おおさか

6)いにしへ→ いにしえ

ここのへ→ ここのえ

たへ  → たえ

やへ  → やえ

7)にほひ → におい

おほふ → おおう

8)あはれ → あわれ

9)む → ん

このように一度説明しただけではなかなか覚えきれないと思いますが、最初なので、あまり頓着せずによんでもらうことに・・・と、こちらが思っているとむしろ、生徒たちの方が自分で気を付けてよんでくれていることに、私の方が驚きました。

最初におさらいしたことで、「けふ」や「あふさか」など、いままで耳で聞いて不確かだったものが、確実にそうよむんだということがわかって、より自信がついたようでした。(ただ、「む」の判別はまだ難しいですね^^;)

残りの時間は、来週によむ歌をどれにするかを決めました。「あ、これ私知ってる」「私、よみたい歌がまだあるねん」と、結局二人でまた楽しそうな相談タイムが始まって、15首ずつ選んでもらいました。この時点ですでに知らない歌がかなり混ざってきていますが、それでも試し読みして「あ、これやったらよめそう!」と、かなり前向きな調子で、めぼしい歌をどんどんと取っていました。(あと、「姫」はすぐに売り切れました^^)

ぶっつけ本番だとそれも酷かなとも思ったので、「お家でも練習してくる?」とたずねると、二人とも「うん、そうする」との返事だったので、選んだ札を持って帰ってもらいました。

ちなみに休み時間を忘れてしまうほど札選びに夢中になってくれたのですが、この「選ぶ」ということを取り入れた方が、エピソードとしては生徒たちの記憶に残りやすいようです。「あ、これ私が選んだ歌や」というように、徐々に物語を付けていってもらえれば幸いです。

 

『青矢号』は、10章を読みました。いままで、口を開くたびに「戦争だ!」とうるさかった将軍と、思いがけない不意のお別れとなる箇所です。

コインの鼻を頼りに、フランチェスコの足取りをたどる青矢号一行。前回は空を巡回するベファーナから身を隠す必要がありましたが、今回は雪がだんだん強く降り始めて一行の行く手をふさぎます。

ふとフランチェスコのにおいが消えたところで、コインが立ち止まります。そこで将軍が「きっと誘拐されたに違いない」と言い張り、また戦闘の準備を始めます。(実はこの発言が、「当たらずといえど遠からず」であることが、読み進めていくうちに分かります)。

けれども大砲を下そうとした矢先、青矢号の停車していた場所が、あいにく雪に隠れた「どぶのそば」だったのでした。車体が傾くや否や、屋根に積んであった大砲が、ことごとくどぶの中に落ちて沈んでしまいます。

将軍にとって、大砲は命と言ってもいいかけがえのないものでした。「大砲のない軍隊なんて・・・」と、将軍はとたんにその場で動かなくなってしまいます。雪がだんだんと降り積もる中、とうとう将軍の膝から肩、鼻先、帽子のてっぺんまで埋まってしまいます。こうして青矢号の乗組員たちは、やむなく将軍の雪像を残して、その場を去らねばならないのでした。

生徒たちの朗読は、最初の頃こそは声も小さくわりと早口な感じでしたが、感情移入があるのと、ペースに乗ってきたせいか、日増しにはきはきとしてきていることを感じます。文末の「~?」という表現ではあたかも相手に尋ねるように、「・・・」では物思いにうち沈んだように、という具合に、その時々の情景を念頭に浮かべながら、自分なりに工夫して読んでくれていることが聞き取れます。いいことだと思います。