岸本です。
今日も寺田虎彦の作品を読みました。
3/11も近いということで、『天災と国防』という作品を取り上げました。
この作品は、大陸での戦争がはじまり、「非常時」という漠然とした雰囲気が漂う時代に書かれたものです。
戦争への不安をにじませながら、寺田はそれ以上に「天災」という敵から日本を守るすべを考えるべきだと提言するのです。
彼の主張の中では、文明の進歩や科学への過度の信頼が天災の被害を大きくするといった、あの東日本大震災を予見するかのような指摘が散見されました。
生徒さんとは、どういった論理で彼がそのような指摘をしているのかを読み解き、東日本大震災の時にそれが当てはまるのか、具体例を考えながら読み進めていきました。
また、「天災は忘れた頃ににやってくる」ということわざを思い起こさせる表現は、震災から2年が経とうとする私たちの現状への鋭い提言ともなっています。
彼の卓見性については、海上に台風観測所を設置して台風の進路予想図を描こうとする提案からも、生徒さんと議論になりました。
面白いのは、宇宙からの情報収集に拠る現在の気象予報が、彼の優れた卓見性をも凌駕していたことです。
科学の進歩の速さと、それに伴う天災の驚異の増大は、今後とも私たちが意識していかねばならないことでしょう。
「のどもと過ぎれば熱さ忘れる」ことがないようにしなければならないという教訓は、生徒さんとの議論から得られた教訓です。
いつもより若干長めの作品でしたので、時間めいいっぱいまでかかりましたが、その分読みがいのある作品でした。
残ったわすかな時間は、私が選んだ記事を読んでもらいました。
次回が最後ですが、来週は生徒さんの都合が合わないということで、土曜日の同じ時間に補講を行います。