福西です。
この日は、このクラスの生徒たちに、私が一番伝えたい内容をしました。
山びこ通信でも触れましたが、「1」「2」「3」「4」の並び替えが何通りあるか? という問題です。
実はこのクラスでも秋学期に一度したことがあり、今回は復習となります。
案の定、「これ前にもやったことがある!」と言う生徒がいたので、「じゃあ、復習しよう。もし人に教えられるぐらい分かってたら、本当に分かっていることになるから」と促しました。
さて、「1」は1通りです。(これ、大事です!)
そして、「1」「2」は、「1」「2」と「2」「1」の2通りです。
では、「1」「2」「3」は、3通りかというと、そうではありません。
帰納的に生徒たちに手を動かしてもらったところ、以前した経験が思い出され、割とすらすらとできていました。そこで、次のことに気付いた人がいました。
「1」ではじまるのが2通り、(「1」「2」と「1」「3」)
「2」ではじまるのも2通り、(「2」「1」と「2」「3」)
「3」ではじまるのも2通り、(「3」「1」と「3」「2」)
計6通り。
このように「カテゴライズする」あるいは「スタックする」というのが、問題の見通しをよくする視点の一つです。それを理解した人は、さっそく「1」「2」「3」「4」の場合でも試していました。
「1」ではじまるのが6通り、
「2」ではじまるのが6通り、
「3」ではじまるのが6通り、
「4」ではじまるのが6通り、
計24通り。
では、ここで「6通り」の意味もわかっているかどうか、生徒たちにたずねてみました。すると、「だって、さっきの問題(1~3までの場合)の答が6通りだったから!」と返ってきました。その通りです。
一方、T君は樹形図を知っていて、それでも理解できることを示してくれました。
こうなると、あとは簡単です。24通りをスタックしておいて、「1」「2」「3」「4」「5」の場合でも、それを次のように足せばいいからです。
「1」ではじまるのが24通り、
「2」ではじまるのが24通り、
「3」ではじまるのが24通り、
「4」ではじまるのが24通り、
「5」ではじまるのが24通り、
計120通り。
このように、算数は「いかに楽するか」の勉強だと思います(笑)。
正直、120通りも書き出すのは骨が折れますし、それをしたところで、あまり意味がある努力とはいえません。ただしもちろん、帰納的な法則をつかむまでは、その作業にはとても意味があります。それは上で見た通りです。つまり、後に苦労をせずともよくなったのは、以前のところで、実際に手を動かして法則を見つけたおかげです。
要するに、「何もしない」わけではなく、「法則をつかむまで手を動かし続ける」(そのうち頭が考えてくれる)、というわけです。ぜひ「わしの円を乱すな!」と言えるぐらい、手を動かすことに没頭してほしいと思います。
さて、このあとは、次の計算をしてもらいました。
1=
1×2=
1×2×3=
1×2×3×4=
1×2×3×4×5=
・・・
1×2×3×4×5×6×7×8×9×10=
ちなみに「電卓を使う?」と私が聞くと、生徒たちは「いや、これくらいだったら、筆算でできる!」という頼もしい返事でした(^^)。
これも前に計算したことがあるのですが、(そしてSちゃんが「1×2×・・・×50」について考えてくれたことを、前の記事では書きましたが)、これもよくできていました。
最後に、2×2マスの枠が24個かかれた用紙を配り、1、2、3、4を埋めるパターンを書き出してもらいました。見た目が変わるだけで、これも前と同じことをしているのですが、ちょっとだけ「ん?」となった様子でした。それでも、「左上に1が入るのが6つ、2が入るのが6つ・・・」というように、カテゴライズすることを思いつき、「数え洩れ」と「数えすぎ」をうまく回避していたところに、「ちゃんと分かっているな」という様子が伺えました。
さて、T君が事情により、山の学校に来て参加してくれるのは、この授業までとなりました。この日のT君の集中力たるや、いつもの二倍、三倍にも感じられました。上の問題を解き切った後も、「まだすることはないですか?」と私をせっつき、それならばと論理パズルを出したところ、時間の許す限り、解答を書き上げてくれました。私としても、伝えられることは精いっぱい伝えたつもりです。そのことを最後に書き記しておこうと思います。
T君の今後のますますの活躍を応援しています。