0225 英語一般講読(ハリー・ポッター)

アーサー(ロンのお父さん)とルシウス(ドラコのお父さん)が争っているところにハグリッドが割って入ります。

 

ハグリッドは二人を引き離しますが、アーサーは唇を切っており、ルシウスはToadstoolsの百科事典で目を打ちました。toadstoolとはキノコのようです。名前から察するに、蛙が腰掛けるような大きさなのでしょう。

 

ハグリッドはマルフォイを相手にするべきではなかったと言い、ウィーズリーおばさんは「子どもたちに見せるいい例だ」と皮肉を言います。彼女はロックハートがどう思ったかと気にしますが、彼は宣伝になるので喜んでいたようです。

 

But it was a subdued group who headed back to the fireside in the Leaky Cauldron

 

その続きのこの引用部の意味が取りづらかったです。subduedは「制圧された」と直訳で取るのではなく「控えめな」と取り、butが宣伝になって喜んでいるロックハートと騒ぎを起こしてしまって恥じている一行との対比だと解釈すると筋が通りました。「しかし、Leaky Cauldronの炉端に戻ろうと出発したのは控えめな人たちだった」が直訳です。

 

ここから5章です。ハリーは今までの人生で一番楽しい夏休みを過ごし、いよいよ最終日を迎えました。その日はウィーズリーおばさんがtreacle puddingなどハリーの好物を用意してくれました。treacle puddingが気になる方は画像検索をしてみてください。

 

ホグワーツへ出発する日は朝から大忙しです。8人と大きな荷物がFord Angliaに収まるのはウィーズリーおじさんの細工のおかげです。

 

Muggles do know more than we give them credit for, don’t they?

 

とウィーズリーおばさんは言います。「マグルは私たちが信じているよりも、実際にはよく物事を知っているのね」といった感じです。これを文字通りの賞賛と取るか、ウィーズリーおじさんへのあてつけと取るかは微妙なところです。

 

出発するとすぐにジョージ、フレッド、ジニーがそれぞれ忘れ物に気づいて取りに帰ります。そうこうしている間に時間が迫ってきます。どうにか11時15分前に駅に着きました。

 

一年前と同じように9と3/4番線から汽車が出発します。最後に行こうとしたハリーとロンはなぜか壁にぶつかってしまいました。フクロウも含めた荷物が散らばって、警備員には何をしているのだと言われ、周りの人々からは動物虐待だと言われます。

 

原因がわからないままに汽車が出発する時刻を過ぎました。ともかく車のところに戻ろうというハリーの発言からロンはひらめきました。車で飛んで行こうというひらめきです。

 

ここで英語版と米語版で大きな違いがありました。英語版ではハリーもすぐにその案に飛びつくのですが、米語版では以下の文章が挿入されていました。

 

“But your mum and dad…” said Harry, pushing against the barrier again in the vain hope that it would give way. “How will they get home?”

“They don’t need the car!” said Ron impatiently. “They know how to Apparate! You know, just vanish and reappear at home! They only bother with Floo powder and the car because we’re all underage and we’re not allowed to Apparate yet…”

 

この部分の冒頭とharry potter, chamber, versionなどを検索ワードにしてしばらく調べたところ、やはり英語版と米語版とでこの相違があることがわかりました。

 

Harry Potter, the American translation

 

その記事で紹介されている本の該当箇所もヒットしました。

 

The Ivory Tower And Harry Potter: Perspectives On A Literary Phenomenon – Google ブックス

 

その本によると、この相違は単に英語と米語の違いというよりも、Apparateという魔法をこの場所で出すかどうかという作者の意図に関わっているようです。

 

どちらにしてもロンとハリーは車で汽車を追いかけることにします。ロンはお父さんが作った仕掛けの使い方を知っていました。姿が消えて車が浮かびました。

 

Harry could feel the seat vibrating beneath him, hear the engine, feel his hands on his knees and his glasses on his nose, but for all he could see, he had become a pair of eyeballs, floating a few feet above the ground in a dingy street full of parked cars.

 

特にbut for all he could see, he had become a pair of eyeballsの部分に注目します。直訳するなら「しかし彼が見ることのできた全てに関しては、彼は一対の眼球になった」です。この部分がas ifなしで直接記述されているのはどうしてかという疑問が出されました。魔法の力で実際に眼球だけになった(少なくとも視界の面では)ということでしょう。

 

しかしその見えなくする魔法はどうもうまく働きません。姿が消えたり見えたりします。そこで雲の上に隠れながら時々下に出て汽車を追うことにします。そして安定飛行に入るとハリーとロンは大いにこの旅を楽しみます。ロンドンの街並みから荒地のほうへ飛んでいきます。その様子は『チキチキバンバン』を想起させるとの指摘を受講生からいただきました。最後に『チキチキバンバン』の動画を載せておきます。