2010年度回想「しぜんA——秋の箱庭編」

●8/31「秋学期の初回」
sDSCF2765.jpg「何の音だろう・・・?」

雲ひとつない空に、焼け付くような日差し。

秋学期の半分を、春学期から続けている「箱庭づくり」にあて、ほぼ完成というところまで目差そう。最初に、みなさんとそうした目標を立てました。

クラスの中では、すでに6年生のU君が完成に至っています。こうした場合は、別の工作に取り組みます。
例として、ある簡単な工作の「音」を聴いてもらいました。

ホワイトボードの裏に工作を隠し、音だけを立ててみます。さて、何の音でしょう。
「水のおとかな・・・?」とY君。
「竹で音を立てているのかな・・・?」とU君。
正解は、「栗(くり)の枝」でした。
以前から工作に使っている、見慣れた素材ですが、幾つかの長さに切ったものを、麻ひもでつるしただけの単純なものです。
枝を両手に持って打ち合わせるだけでは、「コツコツ」としかいいませんが、吊してゆらすだけで「コロンコロン・・・」と、透き通ったような、ささやきあうような響きにかわるので不思議です。

「あ〜、それ、夏休み前に教えて欲しかった!」とNちゃんが笑いました。

作業に取りかかる前に、みんなと確かめたい謎があったので、山の学校母屋の裏にある、細い通り道に行きました。
そこには、夏の間に生い茂った草に埋もれるようにして、以前に間伐した竹が数本横たわっていたのですが、どうもその周辺から音がするのです。
みんなで物音を立てずに静かに耳を澄まします。
「あ、きこえる!」
「ほんとだ!」

パチパチパチ・・・・と、炭酸の泡が弾けるような音が、その一帯から鳴り続けています。
小さいけれど、無数に、広範囲から聞こえます。
これ、なにだか分かる?と訊ねると、
「カミキリの幼虫か何かかな・・・」
「木が乾燥してひび割れる音かな・・・」
と、色々な憶測が飛び交いました。

ノコギリで切ると、茶色い粉が沢山出てきましたが、この日は正体を突き止めることができませんでした。

・・・・・・・・・

さて、ここからは箱庭の続きを見ていきましょう。

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地中にビニールを敷いたり、紙粘土で作った塀を塗料で塗ったり。
「ほんとうに水を張れる池」を作るため、試行錯誤を続けて来たY君。
ゴム手袋着用を約束に*、簡易セメントを使います。(*アルカリ性が強く、直に触ると手が荒れることがあるからです)
意外かもしれませんが、セメントも古来、人間が自然の素材を生かし、利用してきたものです。

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うまく防水できるかな?
写真右は、夏休みの間に作ってくれた「鹿」です!口に草を食(は)みます。

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この日はお兄さんU君に触発され、H君も木工作。車の車輪を作っていました。
そしてU君はというと、なんともユーモラスな表情。「U君の叫び」と題したくなります。

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Nちゃん、まだまだアイテムが増えてゆきます。ご覧のとおり。

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Iちゃんは、スイカ(木製)、こま(木製、よく回りました!)、アイスクリーム(紙粘土製)などをつくりました。

9/14、9/28のクラス写真はありませんが、箱庭に使う材料や、生けるための草木を探しては、作るの繰り返しが続きました。皆さんの創作意欲は衰えません。
秋学期4回目(10/12)以降の取り組みを引き続きご覧下さい。

●10/12「箱庭づくり」

前回、見学にきてくれたR君が、今日から参加してくれることになりました。
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この日、あっという間にここまで庭をつくりました。「夏の庭」なんだそうです。

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青々した葉、枯葉、栗やクスノキの実、小さな紫の花・・・。雰囲気が出てきました。
石を組んで作ったのは「風穴」。一緒に植えられたシダが素敵です。

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H君は白い鉢底砂を金網で削って雪を降らせています。
(この「軽い鉢底砂」も、天然物を加工したものだそうです。)

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白い粘土細工や雪のかかったツリー(杉の小枝)。静かな世界。

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まだまだ発展します。数え切れないアイテムと物語りの詰まったNちゃんの部屋。

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ほぼ完成のU君の庭は、さらに洗練されてゆきます。滑らかな置き石の上から静かに滴る水。
青く見えるのは、落ち葉に着色したセメントを塗って作った不思議なオブジェ。

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不思議な仲間達も増えました。写真右は、先に紹介した人形の裏面。くるっと回すと顔が変わって面白い!

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Iちゃんの作っていた「家具」は「天蓋つきベッド」でした!お風呂も登場。
タイヤがきちんと回る車も作りました。どこか未来的フォルムでカッコイイです。

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Y君の「いきものランド」。色を混ぜたセメントで水を表現。鹿がにゅっと首を伸ばし、水を飲みにきています。

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石組みもさらにヴォリュームアップ。ここは鹿のすみかです。中を覗くと、貯蔵されたドングリに、向こう側からもほのかに光があたっています。このひかり具合が、作者のお気に入り。

●10/26「箱庭完成まであと一歩」

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  「よし、水をいれたぞ」           「あ、まだちょっと漏れてくるな・・・」

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あとから継ぎ足したセメントですが、まだまだすき間があるようです。実は、それなりの技が必要な、奥深い世界なのですね。何事も、経験です。
H君は雪をどんどん積もらせます。

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     ごらんの通り。             おまけで輪ゴムでっぽうもつくりました。

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この日は竹林に竹を採りにいきました。U隊長、頼りになります。
いつもながら、竹を倒すときはドキドキしましたね!

そのあと、みなさんの中の「フォレスターズ魂」が目覚める出来事がありました。(「山びこ通信2011年2月号ページ8をご覧下さい。http://www.kitashirakawa.jp/ryoma/files/2011_2.pdf)

●11/9「完成!」

秋学期の最後は、前回採取した竹を使った工作や、箱庭の仕上げをしました。
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R君は「風穴」の石組みを手直ししています。  こちらはテグスを利用した竹の弓を作成中。

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もうみんな、ノコギリ使いはお手の物。部材にぐっと体重をのせて・・・。
Nちゃんは、箱庭の食卓を飾るお料理中。絵の具を混ぜた、どろだんごやスープや・・・。

これで箱庭づくりはおしまい。とうとう、秋学期のおわりまでかかりましたね。
みんな、本当に積極的に、根気よく頑張りました!

<「しぜんクラス箱庭展」編へつづく>