園庭へ出たら、一度はここからの見晴らしを眺めます。みんなのしぜんなきまり。
しぜんクラス担当の梁川です。
今日から新しいメンバーでのしぜんクラスが始まりました。
火曜クラスの仲間は4人。6年生のリーダーU君と、2年生のH君、Y君、Nちゃんです。
昨年度は分かれたクラス(火曜Bクラス)にいたNちゃんも、笑顔一杯で教室に来てくれて、最初からすんなりと打ち解けた4人の様子を何よりも嬉しく感じました。
新学期初回なので、改めて自己紹介から始めました。みんなには、「これまでのしぜんクラスで、楽しかったことは何か」「またしてみたいことや、新しくしてみたいことは何か」「すきなもの・ことは何か」をたずね、発表してもらいました。
「竹を採ったことや、干し柿をたべたこと!」とまっさきに、Y君が答えてくれました。
「去年は、『ピタゴラ装置』つくったよ!」と言いながら、今度はNちゃんが手を挙げ、「自分で書く!」と言って「してみたいこと」をホワイトボードに発表してくれました。
ツリーハウス、
しょくぶつ(どうぶつ)園にいくこと」
ツリーハウスは、一昨年作った「床だけ」のものではなくて、壁や屋根のあるものを、やはり夢見ているようです。その気持ちは私も全く同じなのですが、実現となると、なかなか困難のつきまとう「ツリーハウス」です。
バームクーヘンづくりも昨年度、してみたいことの一つに入れていましたが、クラスから発生する能動的な流れによって、別の取り組みが行われたので、機会がありませんでした。
リクエストが続く取り組みなので、是非、今年度こそは実現したいところです。
「椅子や机も作ってみたい」Nちゃんが言うと、
「木や竹で作れないかなぁ・・・」などと意見が飛び交います。
H君と何か相談していたU君が、
「拠点を決めて、工作をしてみたい」という意見を出してくれました。
昨年度末に、秘密の森の中で、「秘密基地づくり」をしたことが、きっと楽しかったのだろうと思います。これも、検討したいところです。
みんなの意見を聞いた後、私からも「してみたいこと」の提案をしました。
それは、一年を通して取り組んでいる「しぜん日記」に加え、同様に、一年を通してこつこつと積み上げてゆくことのできる、次のような課題です。
「図鑑づくり」・・・このお山で発見したしぜんの草花などを、絵や言葉で記録し、溜めてゆく。
「地図づくり」・・・それらの発見を「白地図」の中に埋めてゆく。
「箱庭づくり」・・・一人一つ、四角いケースと土だけを渡し、そこに、しぜんの中から発見したものを使って、世界を作り上げてゆく。
前の二つは、木曜クラスのT君が発案してくれた「図鑑」のアイデアと、私の「たんけん地図」のアイデアをあわせた取り組みで、「なるほど、おもしろそう・・・。」という反応でした。
中でも特に反応が大きかったのが「箱庭づくり」でした。
どういうものかを示すため、土を敷き詰めた長方形の鉢植えを、みんなの前に置きました。
きれいにならした土の上に、ぽつりと、小さな二つの草だけが生えています。
「なにこれ、菜の花?」
「菜の花ではないよ^^実は、校舎の裏に生えていた雑草です。」
そして、もう一つの草は、発芽したばかりのモミジの苗です。(しばらくみんなで考えているうちに、Y君が言い当ててくれました。)
「何か育てたい!」
「それもいいね!では、ここにちょっと、これも置いてみよう。」
そう言って、空いた場所に握りこぶしより少し大きいくらいの石をおきました。
「どうですか?」
しばらくみんな、じっと眺めています。
「さらに、こうしてみたらどうでしょう・・・。」
今度はその石の傍に、紙で作っておいた身長1センチの人間を立てました。
とたんに石は、身の丈の何倍もある、巨大な岩へと変化します。
次に、紙の人形を、身長15センチのものに入れ替えます。
「あ、石が小さくなった・・・!」
置くものによって、ものの見え方も、箱の広さも変わります。
新たに別の石や小枝を取り出してデモンストレーションを始めると、みんなも手を伸ばして土を掘ったり、配置を変えたりし始めました。
「ここで虫か何か、飼いたい!」
「僕なら、ジャングルみたいにしたい。池も作りたい!」
早くもアイデアが出始めたところで、箱庭づくりのアイデアを考えつつ、春を迎えたお山の様子を観察しに出かけることとなりました。昨年度末に作った秘密基地は残っているか、それも見に行きましょう。
10月にみんなで植えたチューリップが全盛期を迎えています。
ジャングルジムから空を眺めたら、いざ秘密の森へ! Nちゃん、探検ファイルを装備。
森の入り口から近くにある石碑の裏手には、間伐した竹がたくさん横たわっています。大きな竹を見ると、つい持ち上げてみたくなりますね。さすがは力持ち、U隊長。
秘密基地は残っていましたが、覆いに使った笹の葉はしなびてしまい、壁がすかすかになっていました。この基地はしぜんにかえして、また別の場所に新しい基地をつくりましょう。
さらに、基地の裏手の急斜面へと向かいます。前回発見した、しぜんのすべり台です。
どきどきしながら急斜面をざざざーっと滑ります。H君、身軽です。
下へ降りると、竹の切り株が並んで立っている場所がありました。U君が、手にしていた細い竹で叩くと、「ポコッ、ポコッ」といい音がします。
切り株によって音階も異なる、しぜんのドラムセット。無心に叩き続けるドラマーU君。教室から携えてきた栗の枝で、木を叩いてみるY君、こちらもいい音がします。
しぜんの色々な素材で打楽器を作って、演奏してみるのも楽しいかもしれませんね。
木に掴まりながら急斜面を登って、秘密基地のある広場に戻ってきました。
「登れたよ!」と切り株の上でポーズをとる、Nちゃん。
後ろでY君が、何かを懸命に引っ張り出しています。
それは長い長い竹。節々から斜めに突き出した枝には、葉が一枚ものこっておらず、骨のよう。
引っ張り出した竹が、山道を遮ってしてしまったので、これはいけません。しかし、枝が逆毛になり、戻そうとしても、びくともしないので、そのままみんなで「ズリズリ・・・」とひっぱり出し、向かい側の薮の中へ。巨大な虫が、地を這って山道を横断してゆく姿のようでした。
「しぜんのシーソーだ!」
しばらく春の森を満喫していると、Y君が地面に空いた穴に足を取られました。
「なんだろう・・・」穴の周りにはタケノコの皮が散らばっており、よく見ると、辺りは同じような穴だらけです。彼の推察によると、これはイノシシの仕業のようです。
皮の散らかり具合。タケノコの跡形のなさ。夢中でタケノコを頬張るイノシシの姿、山の主の迫力を、思い思いに想像しつつ、この日のクラスは終わりました。
これからの一年間、どんな発見と感動が待っているか、楽しみです!
>箱庭作り
一年を通してコツコツ積み上げていくという体験。一回ずつの体験と縦糸と横糸のように織り合わさっていくのですね。楽しみです。
いつもお世話になっております。箱庭作りが始まってから、息子はますますお山の学校に行くのが楽しみになっているようです。今まで使ったことのない道具や材料を使った日は、はしゃいだ様子でどんな風に使ったのか話してくれます。話は変わりますが、先日初めてお山の学校のイベントに参加したお友達のお母さんとお話ししました。お山の幼稚園に通園させたわけではないのに、すごく温かく迎え入れてくれて、「わからないところがあったらいつでも聞きにきていいよ」と先生がおっしゃってくださったと、大変感激しておられました。今の時代にはなかなか出会えない教育の場だと、とても喜んでおられました。私も本当にそう思います。素晴らしい先生方に出会えて、親子ともに幸せです。
心温まるコメントを有り難うございます。幼稚園と山の学校。それぞれ別の取り組みのようですが、根っこにある「心」は同じです。一人一人のお子さんのために、私たちは精一杯尽くし、それを喜びとしています。ご縁が早いか遅いかの違いはありますが、趣旨に賛同してお集まり頂けるすべての方々に感謝しています(一般的には「まれな」取り組みに見えますので)。今回のような温かい励ましのお言葉は、担当の先生だけでなく、同志である他の先生にとっても、大きな力になることを思い、心より感謝申し上げます。
いつもお世話になっております。今日は息子の念願だったバウムクーヘン作りの日で、朝から楽しみにしている様子でした。お山からバウムクーヘンのお土産を手にもって下りてくる息子の顔が、なんとも言いがたい満足感溢れる表情だったので、思わず私も笑顔になりました。バウムクーヘンはとっても香ばしくて、作っているときの楽しさが伝わってきました。また一つ息子が大きな達成感を味わって、頼もしく成長していくのかなと思うと、本当に嬉しく思います。
コメントを頂き、誠に有り難うございます。また、このように過去の記事でコメントしていただかねばならないことを、心苦しく、申し訳なく存じます。言い分けがましいのですが、いつもクラスが終わった瞬間から「次へ次へ」と思いが馳せてしまい、コメントチェックや、記事を書くことすら叶わなくなってしまったことを、唯々、反省するばかりです。
駆け抜けるように、また1年間が過ぎようとしています。
藤原くんが、息をきらせて教室に駆けてきて、クラス冒頭で頻繁に「しぜん日記」他、考えてきてくれたことを発表してくれることは、とても嬉しく、クラスのみんなにとっても刺激となっているに違いありません。箱庭作りのときのひた向きな、真剣な横顔や、森の中を語らいながら行くときの笑顔。振り返れば、浮んでくるのはそうした表情ばかりです。
バウムクーヘンづくりの際も、たき火の熱さに負けず、歯を食いしばって竹を回し続けていた表情が印象的でした。
今年度も残り僅かですが、最後に「秘密基地を完成させ、ホット梅ジュースで乾杯!」という目標が待っています。
ワクワクする気持ち、1年間が終わる寂しさ。「ああ・・・時間がいくらあっても足りない・・・!」私も、そのような心持ちです(笑)
また、駆け足ながら今年度を振り返って回想する記事を書きたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。