秋学期に入ってから、「工作がしたい」という声が上がっていました。
そこで、森の中におちている、どんぐりや、小枝や落ち葉を集めに行って、何かつくってみることを提案しましたが、どうやら思い描いているのは、もっと「大きな」工作のようです。
特に、昨年度末に「ツリー・ハウス」づくりを経験したU君にとっては、その体験が印象的だったらしく、「ハウス」の床づくりのとき、何本もの竹を渡して、いかだ状にロープでくくっていく難しい作業を、率先して一生懸命に手伝ってくれたことを、私もよく覚えています。
(「山びこ通信」2008年秋学期号、3~5ページをご覧下さい。
http://www.kitashirakawa.jp/ryoma/files/2008_11.pdf)
ただ、完成した「ハウス」に上って、まだまだ遊びたかったという心残りもあったようで、可能であれば、もう一度してみたいという気持ちがあるようです。
一年生にもたずねると、声をそろえて
「してみたーい!」
と叫びます。
しかし、昨年の経験から、実際に作るとなると、十分な人手や時間が必要で、場所も限られてきます。また、この季節では日が落ちるのが随分と早いので、難しいと言わざるを得ません。
何か、別の工作を、これから検討することにし、この日はまず、山に豊富にある素材としての「竹」を下見に行こうという事になました。
ただし、この日は「しぜん日記」の発表が、非常に盛り上がったため、薄曇りの空の下、竹林を散策しているうちに、随分と暗くなってしまいました。
残り時間からしても、竹を切り出すのは厳しいと考え、別の計画をみんなに提案しました。
「かぶと虫の幼虫がいるので、見にいきましょう。」
実は、秋学期中、山の学校の生徒であるO.T君のお宅から「増えすぎたので、教育の一環でご活用下さい」とのご厚意で、カブトムシの幼虫を50ぴきも分けていただいていたのです。
「かいが室」で保管している幼虫の入った衣装ケースのフタをあけると、一面に、あずきぐらいの大きさの、ごろごろとした土が入っています。実は、それらは全て、幼虫がした「糞(ふん)」なのです!
「この糞を使って、あることが出来ないだろうか・・・」
その事をほのめかすと、勘のいい何人かが気付きました。
「肥料・・・?」
「その通り!」
ミミズがよい土を作る、という話はよく耳にしますが、カブトムシの幼虫だって例外ではないはず・・・、そう思って調べてみると、香川県のある農園で、カブトムシの幼虫の糞を肥料にして育てたスイカが評判であるという記事を発見し、胸が躍りました。
では、私たちが何に使うかといえば、それは、10月にしぜんクラス合同で植えた、チューリップの花壇しかありません!
(チューリップの球根植えの模様は「山びこ通信」2009秋学期号をご覧下さい。
http://www.kitashirakawa.jp/ryoma/files/2009_11.pdf)
「うひ〜」
「きもちわるい〜」
最初は、おそるおそるでしたが、ごろごろっとした糞は、ほんのりと湿り気があるものの、手でさわってもべとつかず、全く臭いがないので、次第になれてゆきました。
しかも、それらはまるで、市販の固形肥料のように、粒がそろっています。
紙コップで糞をすくっては、タッパーに移し替え、花壇に運んでゆき、みんなで蒔く、という行程を2回、3回と繰り返していると、タイミングを合わせたように、雨が降り出してきました。
しばらくの間、うっかりと幼虫の世話を怠ってしまっていただけあり、球根を植えた花壇・プランターの一面は、隙間がないほどに糞、いや、上質の肥料で埋め尽くされました(苦笑)。
最後に、まるまると太った幼虫をみんなで観察し、あたらしい「幼虫マット(幼虫のえさとなる土)」を、幼虫のケースに入れて、この日は終了しました。
今回は、土の上から蒔く「置き肥」の形になりましたが、幼虫がくれた肥料は水にとける性質が高いらしく、じわじわと、土にしみ込んでいってくれるにちがいありません。
翌朝、さっそくあの「コロコロ」を見つけ「なにこれ?」と尋ねる園児たちに、Ikuko 先生がくわしく説明されていました。園でも「しぜん」の学習材料とさせていただいています(^^)